25日の「とくしまマラソン2018」(徳島陸協、徳島県、徳島市、徳島新聞社など主催)で、招待選手の折野加奈さん(26)=三井住友海上、阿南市出身=が、11年間の競技人生に終止符を打つ。現役の選手として出場する予定だったが、相次ぐ故障で昨年末に一線から退き、ラストランを古里で迎えることになった。恩師や友人、前向きで明るい性格に変えてくれた陸上競技への感謝を胸に駆ける。
折野さんは小松島西高校で陸上を始め、大阪学院大卒業後、三井住友海上に入社。女子陸上競技部に所属し、昨年2月には愛媛マラソンを2時間42分36秒で制した。入社後、一番の上がり調子で「次の大会では自己ベストを狙う」と、練習にも一層熱が入ったが、事態が急変した。
1カ月のうち合宿で2~3週間自宅を空ける陸上漬けの毎日を送る中、股関節の痛みで走ることが困難になった。階段を上がったり靴下をはいたりする時でさえ激痛が走り、照準を合わせていた3月の名古屋ウィメンズマラソンへの出場を断念した。
5月にとくしまマラソンに招待された。治療と休養に専念して一時復帰したが恥骨結合炎を患い、11月の全日本実業団女子駅伝ではチームメートのサポートに回り、12月に競技から退いた。
悩みに悩んだ末の決断だったが後悔はしていない。「内気な性格で人前に出るのも苦手だったが、陸上競技に出合って何事にも前向きに取り組めるようになった」。競技人生を締めくくるとくしまマラソンを前に「これまでお世話になった人たちへの感謝の気持ちを込めて走りたい」と意気込んでいる。
今年2月に東京を離れ、三井住友海上徳島支店で事務・会計業務に就いている。今後は県内の中高生や市民ランナーと交流し、これまで学んだ技術面だけでなく、走る喜びや楽しさを伝えていく考えだ。