徳島県議会の9月定例会がきょう開会する。定例会のたびに積み残している宿題に真剣に向き合い、議論を深めてほしい。

 宿題とは、人口減少問題のことだ。安倍政権が地方創生担当相ポストを新設し、人口減少対策や東京一極集中の解消に、国を挙げて取り組むようになったのが2014年9月である。それから5年が過ぎた。

 徳島県も国の動きに追随してきた。しかし、県人口はこの間、減少ペースが緩和することはなかった。担当相が置かれた14年の県人口の年間減少数は5824人。これに対し、18年は1年間で6857人減っている。減少幅は千人以上拡大している。

 なぜ今、徹底的な議論が必要なのか。それは、県が人口減少対策の新しい5カ年計画となる次期県版総合戦略の策定作業を今後、本格化させるからだ。

 15年に策定した人口ビジョンで、県は60年の目標を「60万~65万人超」と設定し、総合戦略に移住促進や子育て支援など128の数値目標を掲げた。当時、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)による60年の県推計人口は41万9千人だった。

 将来見通しについては、国も社人研の推計を上回る値を設定しており、その水準にならうと、県の60年の推計人口は約60万人となるが、県は「県民が本県の将来に夢と希望を持てるものとするため」とし、国の水準以上の目標を掲げた。

 県は13日、60年の県人口が51万1千~59万6千人になるとの試算結果を公表した。人口減少対策の効果が出ることを想定した数値で、これを参考に、新たな人口ビジョンの目標値を検討する。だが、この試算は、25年以降の出生率を1・80(18年1・52)とするなど、相当甘いと言わざるを得ない。

 人口予測は、県の方向性の基盤となる指標でもある。社会保障や教育、医療、インフラなど、各種施策に関わる数字だ。現行戦略の検証、反省を通じ、どの程度の目標を掲げるべきなのか、責任のある議論が求められよう。

 現実からかけ離れた高い目標は、行政の方向を誤らせる危険性を伴う。夢や希望ではなく、地に足の着いた目標を掲げ、実行可能な施策を見定める。これが、今の県政に必要な姿勢ではないか。

 もちろん、本県だけの取り組みでは限界がある。飯泉嘉門知事は3日、全国知事会の会長に就いた。就任の際、「徳島の課題を全国に広め、政策提言に厚みを増していく好機だ」と語った。人口減少対策の面からも、結果が問われる。

 県政の課題は、人口問題だけではない。赤字額が見込みを大幅に上回った都内の情報発信・交流拠点「ターンテーブル」の問題点や、頻発する災害への対応も欠かせない。いずれも先送りは許されない課題だ。