生物の皮膚やうろこ、ふんにはDNAが含まれている。はがれたり、排せつしたりすることで、生きた証しがそこに残るのだという。環境DNAと呼ばれる。これを調べれば、湖や河川にどんな種類の魚が、どの程度生息しているか分かる

 この手法を未確認生物の捜索に応用したのが、ニュージーランドの研究チームだ。英北部スコットランド、ネス湖の「ネッシー」伝説にけりをつけるため、湖の約250カ所で水を採取し、正体不明のDNAが含まれていないか調査した

 研究チームによると、網に掛かったのは大量のウナギのDNA。未知の生物の存在を示す科学的な証拠は「全く見つからなかった」。こう結論付けている。「正体はおそらく巨大なウナギだ」

 科学的には正しいのかもしれない。ただ、説得力という点ではどうだろう。「ウナギが通常よりも極端に大きく成長する可能性もある」といった説明も、可能性としてはあり得ても、「それはない」派を勢いづかせるだけかも ネッシーの目撃情報が増えたのは1930年代以降。首を水面から伸ばした有名な写真は、既に捏造だと判明している。それでも伝説は絶えない

 もはや心理学や観光学の問題である。科学で答えは出ても、いてほしいと願う人がいる限り、ネッシーは湖底深くの隠れ家で永遠に生き続けるのだろう。