8日付社会面に元ラグビー選手の訃報が載った。南アフリカ元代表のチェスター・ウィリアムズさん。49歳。自国で開催された1995年W杯にチーム唯一の黒人選手として出場し、4トライを決める快走を見せ、国民を熱狂させた

 当時の南ア大統領マンデラさんとラグビー代表チームの苦闘と栄光をたどった映画「インビクタス」をご存じだろうか。チェスターさんは白人選手ばかりの中で、口数の少ない、闘志を内に秘めた選手として描かれている

 南アではラグビーは裕福な白人のスポーツで、アパルトヘイト(人種隔離)の象徴だった。人種差別の制裁で、代表チームが国際試合に出られず、弱体化した時期もある

 マンデラさんは、ラグビーを白人と黒人の融和のシンボルとして「ワンチーム ワンカントリー」を掲げ、代表チームの強化を目指す。W杯の頂点に立ち、「競技場に集まった6万3千人のおかげですね」と問われた主将はこう答える。「いや、4300万人の国民みんなのおかげです」

 きょう、W杯日本大会が開幕する。前回、優勝候補の南アから大金星を挙げた日本は、史上最強の呼び声が高い。目標の8強入りを果たせば、再び南アと対戦する可能性が出てくる

 31人中、15人が外国出身者の日本代表。スローガンにする「ワンチーム」の力が試される時が来た。