徳島から本格的に「渡欧」を始めて3年になる。世界で生産されるレモンとライムの3割を消費している欧州連合(EU)で、本県特産のスダチの評判は上々らしい。8月末から収穫した露地物を出荷し、本年度も輸出を終えた

検疫など一連の作業場所となった石井町の県立農林水産総合技術支援センターで最終日、生産者やセンター職員の表情は明るかった。前年度に続き輸出総量が1トンに及ぶ見通しとなり、ほっとしたようだ

EUはかんきつ類の輸入検疫にシビアなことで知られる。思い出すのは4年前、勝浦町の貯蔵ミカンの初輸出が直前に取りやめとなった一件。基準を超える農薬が検出されたためだが、日本の基準より250倍も厳しかった

スダチ農家には、この教訓が常に頭にあるという。県が用意したマニュアル通りの栽培に徹し、担当職員とのまめな確認を怠らない

EUでの売値は1キロ5千~6千円で、この時期の県内価格より3倍以上高いという。2月の日欧経済連携協定(EPA)発効で、EUへのかんきつ類の輸出関税は撤廃された。追い風だ

ただ、県内で取り組む農家は4戸だけで、登録農地も27アール止まり。「県産スダチの将来展望を広げたい」とは、輸出2年目の藤森正三さん(56)。そんな心意気が広がれば、「緑の宝石」は国内外で輝きを増すはずである。