四国霊場札所88カ寺でつくる「四国八十八ケ所霊場会」(香川県善通寺市)が、62番札所・宝寿寺(愛媛県西条市)の住職に対し「納経の受付時間を勝手に短縮するなどして巡礼を妨害している」などとして、妨害行為の禁止などを求めた訴訟の判決が22日、高松地裁丸亀支部であった。小川雅敏裁判長は「被告は同会の正会員とは認められず、規則を履行する義務はない」などとして、原告側の請求を棄却した。

 判決理由で小川裁判長は、同会は四国霊場の発展などを目的とする任意団体であり、被告が宝寿寺の住職であるという理由で加入を強制できる法的根拠はないと指摘。被告が同会に対して入会の意思表示をした証拠もなく、正会員とは認められないとした。

 納経の受付時間の短縮に関しては、納経所の運営は各寺が行うもので、同会の運営要領は納経の受付日や受付時間などの事務的な定めにすぎないと判断。運営要領に従った納経所の運営が信教の自由にかかわるものとは認めがたいとし、原告の請求には理由がないと退けた。巡礼の妨害行為の有無には言及しなかった。

 判決を受け、原告の代理人は「事実の認定や法令の解釈を誤った不当な判決だ。霊場会と協議の上、控訴する方向で考えたい」と話した。被告の代理人は「一切取材はお断りしている」とコメントした。

 霊場会の運営要領では、納経所は年中無休で午前7時から午後5時まで休まずに参拝者を受け付けると定めている。霊場会は、宝寿寺の住職がこの決まりに沿わず、受付時間を勝手に短縮したほか、参拝者に暴言を吐くなどしていたと主張していた。住職側は、妨害行為はなかったと反論し、霊場会には「会員にはならない」と通告しており、運営要領などを守る義務もないとして請求棄却を求めていた。