今季から徳島ヴォルティスの7番を背負うDF内田裕斗(22)が、明治安田J2第3節の大宮アルディージャ戦(10日)で、スーパーゴールを決めて鮮烈なインパクトを与えた。昨季は、チームがJ1昇格を逃したことと合わせ、個人としても試合になかなか出られず、悔しいシーズンとなったが、今季は開幕から3戦連続で先発出場し、徳島のサイドを支えている。『ヴォルティスの7番は内田裕斗』と呼ばれるようになりたい」と意気込み臨んだ新シーズン、序盤戦から7番を印象づけている。
「LINE(のメッセージの数)がすごかった」と大きな反響があったゴール。練習場に訪れたサポーターからも「しびれたよ」「ナイスゴール」などと祝福されたゴールは、大宮戦の後半7分に生まれた。右サイドのコーナーキックでMF岩尾憲のクロスに後方から走り込み、ペナルティーアーク付近で左足ボレー。ゴール左上隅にシュートを突き刺し、日本代表だった名波浩(現・ジュビロ磐田監督)が2000年にアジアカップで決めたゴールを彷彿とさせた。
前週の練習でネットを揺らしていた形で、相手チームの動きを見ながら、選手同士が話し合い、判断して採用した。内田は「練習でも決めていた」と言い、「ミートと、振り抜くことを心掛けた」と冷静にシュートを放った。アウト回転でGKから逃げていく軌道も「まさにイメージ通りだった」。試合前には、スペインのレアル・マドリードで左サイドバックを務めるマルセロの動画を見ていたそうで「それがよかったのかも」と笑う。
ガンバ大阪を経て2015年から徳島でプレー。昨季は、厳しいポジション争いに途中出場も多く経験した。自身が結果を残したい気持ちもありながら、時間帯やチームのバランスを考えながらピッチに立っていた。今季は「試合に出てチームの力になる」と意気込み、チーム始動から軽快な動きを見せる。サイドを専門とする選手のコンディションが整わない中、主戦場としてきた左とは逆の右サイドを任されることもあるが「監督が信頼して使ってくれている」と、攻守で徳島のサイドを支えている。
開幕から2戦は、徳島らしい攻撃的なサッカーができない時間帯が多かった。大宮戦でようやく躍動感あふれるスタイルを取り戻し今季初勝利を挙げた。2戦との違いについては「相手のフォーメーションも違う。そのときの出来が、自分たちの実力」と冷静に受け止め、「勝たないといけないので、どういうサッカーをしても勝つようになりたい」と話す。「クラブの歴史を変えるには優勝しかない」と優勝を目標に掲げ、勝利に対する思いは誰にも負けない。
今季から背負う「7」は、好きな数字だという。しかし、これまでのサッカー人生で背負う機会はなく、初めて付けた。徳島ヴォルティスで7番は、低迷していたチームを上位へ引き上げた徳重隆明(2009~12年在籍)、J1昇格に貢献した柴崎晃誠(2013年)、昨季まで在籍し、中盤でゲームメークしたMF木村祐志(2015~17年)ら中盤から前線の選手が付けてきた。JリーグでDF登録の7番は、J1川崎フロンターレの日本代表DF車屋紳太郎らがいるが、まだ少なく、徳島でDFが7番を付けるのは初めて。ヴォルティスの7番=内田裕斗となるため、7番の歴史を変え、クラブの歴史を変えるため、今季の活躍にますます注目が集まる。
◆ヴォルティスゆかりの選手の7番
今季、徳島ヴォルティスゆかりの選手では、Jリーグで3人が7番を付ける。J2では、レノファ山口に移籍したMF大﨑淳矢(2013~17)、古巣のツエーゲン金沢でプレーするMF清原翔平(2017)の2人、J3ではカターレ富山のMF佐々木陽次(2015、16)が7となっている。