サンマを品定めする買い物客。価格の上昇にため息が漏れる=徳島市のそごう徳島店

 秋の味覚の代表格・サンマが記録的な不漁となり、徳島県内でも価格が急騰している。消費者は「高すぎて手が出せない」とため息を漏らし、値上げを余儀なくされた小売店は下処理のサービスを行うなどして割高感の払拭に努めている。今後も不漁は続く見通しで、関係者は頭を抱えている。

 漁業情報サービスセンター(東京)によると、8月1日~9月10日の全国の水揚げ量は約2千トン。昨年同期(約1万2千トン)の2割以下で、48年ぶりの大不漁だった2017年同期(約9300トン)も大幅に下回る。

 鮮魚卸の徳島魚市場(徳島市)では、9月の1週間当たりの入荷量が昨年比約2割減の5~6トンにとどまる。担当者は「120~140グラムの良形は1割ほどしかない。全体的に小ぶりで細く、脂の乗りも良くない」。市場価格は昨年の2~3倍に膨らんだ。

 スーパー大手のキョーエイ(徳島市)は仕入れ価格を抑えるため、県内外の相場をくまなくチェックしている。それでも値上げは避けられず、昨年の倍の1匹200円前後で販売。料理に応じて下処理をするサービスを行うなどしている。海産部門の責任者は「今年は特売ができそうにない」と残念そうに話した。

 新物を毎年楽しみにしているという樫原雅美さん(60)=同市八万町弐丈、主婦=は「サンマは1匹100円というイメージ。かなり高く感じる」と購入を見送った。

 そごう徳島店(徳島市)に入る鮮魚専門店は、仕入れ値と品質のバランスを考えて、店頭に置かない日もあるという。山口知紀店長(41)は「品質に見合う値段以上は設定できない。質の良いサンマは数が少なく、安定供給は厳しい」と言う。

 漁業情報サービスセンターは10月の見通しについて「急激に状況が良くなることはないだろう」とする。

 徳島駅前で居酒屋を営む堀哲也さん(33)は今シーズン、サンマ料理を提供できていないといい「旬の味覚を待っているお客さんは多い。期待に応えられないのは心苦しい」と話した。