徳島県のレーダー画像

 台風17号の暴風域に入らなかった徳島県内で22日夜、猛烈な雨が降ったのはなぜですかー。徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」に、こんな投稿が寄せられた。確かに、県内は台風の中心から離れていた。にもかかわらず、記録的短時間大雨情報が計4回も発表された。徳島地方気象台に聞くと、県南部に積乱雲が次々と発生して連なる「線状降水帯」が発生していたという。台風17号は、土砂崩れや河川の氾濫といった大規模災害を起こしてもおかしくない危険なルートをたどっていた。

 22日夜、徳島県南部に猛烈な雨をもたらした台風17号。気象庁のレーダー解析では、午後7時半~8時50分に那賀、上勝、海陽の3町付近の1時間雨量が約120ミリに達したとみられる。

 「猛烈な雨」。気象庁は1時間80ミリ以上の雨をそう定義する。ホームページには「息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じる。大規模災害が発生する恐れがある」とあった。

 当時、現地はどんな状況だったのだろう。海陽町相川の会社員松田賢二さん(61)に話を聞いた。「午後8時前から急に『ダー』という激しい雨音が聞こえ、30分ほど続きました。台風の進路が徳島から遠く離れていても、これほど降るとは意外です」と驚いた様子だった。

 同じ地域に住む女性(86)も「トタン屋根を打ち付ける『バリバリ』という音が室内に響きました。ニュースを見て心配して電話をくれた親戚の声が全く聞こえないほどで、1時間に120ミリも降るとは思いませんでした」と振り返った。

 台風は、東シナ海から九州の北の日本海を通って北東に進んだ。気象庁のレーダー画像を見ると、県南で大雨が降った時に台風の中心は九州の北にあり、県内から約400キロ離れていた。

 猛烈な雨が降った理由について徳島地方気象台の鈴木勇次次長に質問すると、「3町の上空に、積乱雲が次々と発生して連なる『線状降水帯』ができていました。台風の中心から200~600キロ離れた所にも降水帯はできます」と説明してくれた。

 22日は太平洋から毎秒10メートル前後の南東の風が吹き、県南部の南東斜面に温かく湿った空気がぶつかった。そこで積乱雲が次々と発生して北に運ばれ、3町の山間部で長時間にわたって雨を降らせたという。

 国や県が設置している雨量計の観測データも調べた。那賀町白石で午後7時までの1時間に87ミリ、海陽町平井では午後9時までの1時間に90ミリを記録していた。那賀町木頭和無田では24時間雨量が503・5ミリと、9月1カ月の平年値(504・3ミリ)とほぼ同じだった。

 台風がどのルートをたどると県南部に線状降水帯ができるのか。鈴木次長は「四国の西側を通ると、その傾向にあります。雨雲が集まる地形になっていると考えられます」。

 近年は「数十年に一度」の豪雨が頻発。台風は今後も接近する可能性があり、危険箇所や避難場所を事前に確認しておく必要がある。徳島大環境防災研究センター長の中野晋教授(地域防災学)は「1時間に100ミリを超えれば、いつ被害が出ても不思議ではないでしょう」と注意を呼び掛けている。