大潮の淡島海岸は、潮が引いた砂浜に空が映り込む絶景が広がる=阿南市畭町

 南米・ボリビアの高原に、南北100キロ、東西250キロという広さの塩でできたウユニ塩原(塩湖)がある。雨期になると塩原には水がたまり、水鏡となって空や雲を映し出す。幻想的な光景は人気を呼び、世界中から観光客が集まる。

 水鏡は、川面や湖面が無風状態で波がなくなれば起きる現象だ。スケールを問わなければ、ウユニ塩湖のような光景を楽しめる場所は結構あるんじゃないか?

 県内でぴったりの場所はないかと思い巡らせ、選んだのが阿南市の淡島海岸である。遠浅の海岸で、大潮の干潮時には50メートル以上沖まで潮が引き、広大な砂浜が出現する。

 大潮の日を狙って行ってみた。潮が引いた砂浜に薄く水が張り、見事に青空が映り込んでいる。沖に浮かぶ小島と相まって、美しい光景が生まれていた。

 淡島海岸はかつて、童謡「シャボン玉」の作詞などで知られる詩人・野口雨情(1882~1945年)が訪れた場所だ。「海の眺めじゃ淡島あたり、夏は涼しい浜遊び」と絶賛した言葉が残る。

 水鏡ができることは知られていないのだろうか。この日は静かな砂浜に釣り餌用のカニを掘る人がいただけ。絶景独り占めのぜいたくな時間となった。