徳島駅前のそごう徳島店が来年8月末に閉店することが決まった。

 県内で唯一の百貨店が姿を消すことに寂しさを覚える。

 一昨年8月に当時の飯田長久店長が本紙のインタビューに「黒字が続いており、撤退は考えていない」と述べていただけに唐突感が拭えない。

 セブン&アイ・ホールディングスは、採算性の改善が見込めないことを理由に挙げる。事業構造改革の一環で、「そごう西神店」「西武大津店」など4店も2021年2月末までに営業を終了する。

 そごう徳島店の売り上げは1993年2月期のピークには444億円あったが、今年2月期には3割以下の128億2500万円に落ち込んでいた。

 確かに、不採算の店舗を抱えていたのでは、業績改善が困難なのは理解できる。しかし、地域への影響をもっと考慮してほしかった。

 そごう徳島店は1983年10月、徳島駅前市街地再開発事業で再開発ビルの核テナントに誘致され、「徳島そごう」として開業した。

 当初は、立地の良さや好景気から高い集客力を誇り、活況を呈したが、バブル経済の崩壊以降は、時代の波にほんろうされた。98年の明石海峡大橋の開通で買い物客を県外に奪われ、2000年には経営破綻に追い込まれている。

 その一方で、経営努力を重ねてきたのは事実だ。破綻後は都市型百貨店から脱却し、地域密着型の増収増益体質への転換を目指した。郊外型の大型商業施設の出店や、インターネット販売の拡大には、上質な品ぞろえと接客サービスで差別化を図り対抗した。

 16年には、アミコビルを運営・管理する徳島市の第三セクター・徳島都市開発に要請して、9階までだった売り場面積を6階以下(7階の一部を含む)に縮小。賃貸料の負担を軽減させた。

 売り上げは減ったとはいえ、一定の効果を上げていたという。それだけに「経営合理化」の一言で撤退を決めるのは、何とも割り切れない。

 懸念されるのは、雇用への影響である。本社員72人は配置転換になる見通しだが、契約社員104人は働き場を失う。再就職の支援に向け、相談窓口を設けるなど、十分な対策を講じてもらいたい。取引先への配慮も必要だ。

 徳島駅前の商業などへのダメージは極めて深刻だ。空き店舗状態が長く続けば、客足はさらに遠のき、イメージも悪化するだろう。

 1995年に県内の老舗百貨店「丸新」が閉店して以降、徳島市内の二大商業ゾーンのうち「新町地区」はさびれ、その再生が大きな課題となっているが、遅々として進んでいない。

 そごう徳島店の閉店で、もう一つの「徳島駅前地区」を含めた中心市街地全体が地盤沈下する恐れがある。行政、地域、経済界が一体となって知恵を出し合い、早急に手を打たなければならない。