それは黒船だった。それは1983年、「四国最大の都市型百貨店」の触れ込みで登場した。そごう徳島店である

 たった1杯の蒸気船が、地場のデパートを蹴散らした。消費者の流れを駅前にとどめ、中心市街地の商店街に閑古鳥を鳴かせた。しかし、時代は巡る

 地域一番店の変調は、明石海峡大橋が開通し、徳島が本州と直結した98年には、見え始めていた。「本当にいい物は、神戸や大阪へ買いに行く」。そんな若者が増えた

 かつて持っていた輝きが、いつしか、くすんでしまったのである。安価で良質な衣料品店、ショッピングモールなど、郊外の大型店が客をつかみ、さらにはインターネット通販が台頭した。目まぐるしく広がった消費者の選択肢に駅前の巨艦が機敏に対応するのは、至難の業だっただろう

 セブン&アイ・ホールディングスが、そごう徳島店の閉鎖を発表した。グループ各社のリストラ策の一環で、「採算性の改善が困難と判断した」という。民間企業の経営上の決断ではあるけれど・・・

 開店以来36年、民事再生の荒波も乗り切った黒船は、徳島県内でただ一つ、県民の百貨店として都市機能の一部をなしてきた。仕方ない、と割り切るには、あまりにも衝撃が大きい。ゼロと1の差は無限にある。県都の入り口にできる巨大な穴を、どう埋めればいいのだろう。