本年度の東大総長賞を受賞した山下さん=東京・本郷

本年度の東大総長賞を受賞した山下さん=東京・本郷

 東みよし町出身で東京大大学院学際情報学府修士課程2年の山下聖悟さん(25)が、優れた業績を上げた個人・団体に与えられる本年度の東大総長賞を受賞した。学業部門9人のうちの1人で、総合分析情報学コースでコンピューター・サイエンスを学び、「水泳体験を向上させる水中バーチャルリアリティー(VR)環境に関する研究」が評価された。

 山下さんは、昼間小から三好中を経て香川県の詫間電波高専(現香川高専)に進学。本科と専攻科を合わせて7年間学ぶ中で人間とコンピューターの相互作用「HCI(ヒューマン・コンピューター・インターラクション)」の分野に興味を持つようになった。

 卒業後、HCI分野の権威、暦本純一東京大大学院教授の研究室に入り、1年の欧州留学を経て今月23日に修士課程を修了した。

 山下さんの研究は、水泳用プールの底や側面に映像を投影してVR環境をつくり、サンゴ礁に囲まれた海や宇宙で泳ぐといった疑似体験をすることによってモチベーション高く水泳の練習ができるという内容。自分の記録と競争したり、フォームの修正・確認にも活用できたりする。

 総長賞は学業と課外活動・社会活動等の2部門があり、学業部門は学部長や研究科長らが29人を推薦した中から9人が選ばれた。

 山下さんは「研究室の環境が優れていた。刺激を与えてくれた暦本教授や仲間に感謝したい」と喜びを口にする。富山高専出身の先輩が3年前に東大総長賞を受賞したことが励みとなり「東大の学部は出ていなくても、目標を持ち、楽しむことを忘れずに取り組めば成果は出せる」と話した。

 山下さんは4月からシンガポール国立大学内にある研究施設に身を置き、東京大大学院博士課程の修了を目指す。「コンピューターが人の暮らしを豊かにするようなコンテンツを生み出し、実用化させるのが夢」と目を輝かせた。