存続か否かで揺れる小松島市の金長大明神(金長神社)が建立されたのは1956年のことである。当初から騒動が起きている

大映の永田雅一社長が映画「阿波狸合戦」の大ヒットに感謝し、資金を提供した。それは有名な話だが、建設には小松島市が関係している。市営グラウンドに市が神社を建てていいのか、と当時、市議会で追及されもした。神社に見えても、れっきとした観光施設だ、とは市の答弁

なかなか強引な解釈で乗り切ってから60年余り。市の見解はともかく、金長神社は、立派に神社本来の機能も果たしてきた。グラウンドの再整備で取り壊すことになったものの、存続運動が起きているのはこのためだ

鬼瓦には「金」の字、玉垣に「京マチ子」や「長谷川一夫」の名。ジブリの映画にも登場して、金長だぬきの物語の聖地ともなっている。写生大会や稚児行列など、神社での行事が子どもの頃の記憶と結びついた市民も多い

よくある老朽観光施設の改廃と同列にはいかない。市も重々承知しているようで、有識者会議の意見を聞きながら善後策を煮詰めている

続編はつまらないというのが通り相場ではあるけれど、本編を上回ることもままある。さほど関心が高まっていないのは残念な話。「続・金長さん安住の地物語」を豊かにできるのは、市民の一筆一筆では。