電力会社は地域独占企業だ。事業を支える電気料金や税金が、巡り巡って幹部の懐に入るなど言語道断である。

 関西電力は、役員らの金品受領問題で八木誠会長が引責辞任し、部外者による事実解明の第三者委員会を発足させた。岩根茂樹社長は、委員会の報告書が提出されるまで在任する。

 報告のめどは12月下旬という。社長として事態収拾ににらみを利かせながら、年内の決着を計る思惑だろう。今すぐにでも身を引くべきだ。

 もはや一企業の不祥事ではない。収賄とみなされて当然の癒着だ。「儀礼の範囲」「断りきれなかった」と抗弁して逃げ切れる問題ではない。

 高浜原発(福井県)の「顔役」とされる森山栄治氏(故人)は、深い関わりを持つ「吉田開発」が受けた関電発注工事の大半で、関電から情報提供を受けていた。吉田開発が直接金品を贈ったケースも発覚。同社と関電は、入札を必要としない「特命発注」の随意契約も結んでいた。

 こうした癒着の構図がいつ、どうやってでき上がったのか。渦中の森山氏は昨年3月に死亡。贈った側に事情が聴けず、第三者委が「死人に口なし」の手詰まり状態になるのは確実だ。

 第三者委のトップには元検事総長の但木敬一弁護士が就任した。他の委員も法曹界の重鎮ばかりだ。但木氏は裁判員制度などの司法改革を推進した官僚だったが、一線の捜査経験はほとんどない。第三者委に一定の中立性や公正さは信頼できても、事実を見つけ出す力には疑問符がつく。

 森山氏が高浜町の助役になったのは1977年。10年後には、退任して関電の子会社「関電プラント」に顧問として迎えられている。

 現経営陣が入社する頃から、森山氏は原発誘致に絡んでいたことになる。「地元に強い」と原子力部門の先輩から後輩に引き継がれ、断ち切れない関係になった。半世紀に近い両者の関係を解明するのは至難の業だ。

 金品受領は、昨年1月、金沢国税局が行った吉田開発への税務調査(査察)で判明した。危機感を抱いた関電はすぐに内部調査を始め、あわてて金品を返却した。「発注プロセスには不正なし」と不祥事を公表せず、先月下旬、報道で事実が明るみに出た。

 この経緯をみても、関電関係者が今になって「金品と発注の関係」を認める可能性は、極めて小さい。法令違反の糸口を見つけ、突破するのは、強制力を背景にした検察当局の捜査しかない。

 会社法967条は、企業の取締役などに対し、公務員と同様の「収賄」の罪を定めている。脱税に問えなかった国税当局の調査を引き継ぐ形で、捜査に着手してほしい。

 問題は、今ある原発を今後どうするかという日本社会の課題にも、深く関わっている。誘致や再稼働にうごめく原発マネーに切り込む、またとない好機ではないか。