林敏之さん

秩父宮ラグビー場でのテストマッチで、スコットランド選手の突進を止める日本代表。背番号4が林さん=1989年

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)で初の8強入りを狙う日本を、第1回大会で主将を務めた林敏之さん(59)=徳島市出身、神戸市=が特別な思いで見守っている。準々決勝進出を懸けて13日に戦うスコットランドには過去1勝10敗と分が悪いものの、唯一勝った30年前の試合は林さんがトライを決めた。「この一戦に全力で挑み、新たな歴史をつくってほしい」。快挙の再現へエールを送る。

 林さんは城北高から同志社大に進み、社会人の神戸製鋼では日本選手権7連覇に貢献。W杯は1987、91年に連続出場した。

 日本はスコットランドに対し、76年の初対戦から3連敗。林さんによると、当時の日本は全員がアマチュア選手で仕事が忙しく、短い合宿しかできなかったという。

 初勝利は4戦目の89年。秩父宮ラグビー場(東京)でのテストマッチ(国対抗戦)だった。主力を一部欠いた相手にスクラムで優位に立ち、トライを重ねて28―24で競り勝った。快挙にスタンドの観客は総立ちとなった。「観客は日本代表のバスが会場を出るまで見送ってくれた。あんなにうれしい思いをしたのは初めて」と振り返る。

 その後は敗北が続きW杯では3戦全敗。2015年の前回大会では10―45と大敗し、準々決勝進出を阻まれた。

 あれから4年。優勝候補のアイルランドを破る番狂わせを起こした日本が、因縁の相手との大一番に臨む。

 「代表の使命と誇りを感じてほしい。相手の足が止まるまで、我慢して走り切れば必ず勝てる」。桜の戦士に8強入りを託した。