空と海をオレンジ色に染めながら上る月。幻想的な光景だった=阿南市中林町

 月の出を撮りたいと思った。朝が苦手なので、「日の出よりも撮りやすかろう」という安直な考えである。

 場所は阿南市の中林海岸と決めていた。美しい海岸を表す「白砂青松」そのままの風景で、さらに浜の向こうに雀礁磯、燕礁磯と名付けられた岩礁が点々と並び、沖合には福村礒の烏帽子島や丸島、遠くに伊島が見える。

 紀伊水道に面した東向きの海岸から、沖の岩礁や島々の間に月が上るシーンを想像していた。抜群のシチュエーションに違いないと思いつつ撮影を始めた。

 ところが、出掛けてみると、そう甘くはないと思い知ることになった。月は朔望月と呼ばれる周期に従って動いている。月齢表をにらみながら撮影日を決めたものの、満月の日に雨が降り撮影を断念するなど、悪天候に泣かされた。

 写真は、中林海岸を訪ねること5度目で撮影できたものだ。この日も晴れてはいたが、紀伊水道の上に雲がかかっていた。

 今回も駄目かと思いつつ、水平線を眺めていると、雲が赤く染まりオレンジ色に輝く月が上ってきた。水面に光の筋が伸び、星のまたたく空がほのかに明るくなる。

 シャッターを切りながら、感動的な光景に見入っていた。