徳島大学病院は、心臓の弁の働きが悪くなる大動脈弁狭窄(きょうさく)症の患者に対し、開胸せずに身体的負担を軽減できる手術「経カテーテル的大動脈弁置換術」(TAVI=タビ)を4月1日から始める。この手術の専門外来も開設し、診療や相談に応じられるようにする。
TAVIは、心臓の弁の開閉の働きが悪くなる大動脈弁狭窄症に対して行う新しい手術法。これまでは胸を開いて心臓を止め、人工心肺装置を用いる大掛かりな術式が採られていた。患者の身体的な負担が大きく、高齢者や体力が低下した人には手術ができない場合も多かった。
TAVIでは、足の付け根や胸からカテーテルを入れ、専用の人工弁を心臓まで送り込む。開胸せず、心臓を止めることもない利点があり、患者の負担が少なく手術時間も半減できる。
徳島大学病院は、2015年末に血管撮影装置を備えた外科手術室「ハイブリッド手術室」を外来診療棟に設け、これまで別の場所で行っていたカテーテル治療と外科手術が同じ場所でできるようになった。
TAVIの実施施設に認定されるためには、万一の場合に備えて迅速に外科手術に切り替えられるハイブリッド手術室があることなどが条件となっており、徳島大学病院は17年1月に認定された。
院内で心臓血管外科医や循環器内科医、麻酔科医、看護師らでつくる「ハートチーム」を結成し、チームが患者に適した治療や手術の方針を決めて術後管理までを行う。
県内では徳島赤十字病院が14年10月にTAVIの実施施設に認定されている。
担当の黒部裕嗣医師(心臓血管外科)は「心臓手術の方法は進化している。これまで手術をためらっていた人にも個々の状態に応じた最適な治療が提供できる可能性があり、気になる人は相談してほしい」と話している。
問い合わせはTAVI専門外来<電088(633)7150、メールtokushin@tokushima―cvs.info>。