猛烈な雨の恐ろしさをまたも見せつけられた。

 日本列島を直撃した台風19号は東海、関東、甲信越、東北各地の河川を決壊、氾濫させ、住宅地をのみ込む大規模な洪水被害をもたらした。

 被害の全容はまだ分かっていない。警察や消防など関係機関は、行方不明者や取り残された人の捜索、救命に全力を挙げてもらいたい。政府、自治体は一体となって、被災地の復旧と生活再建に当たる必要がある。

 台風は12日夜、伊豆半島に上陸し、東日本を縦断した。雨量は驚異的で、神奈川県箱根町の日降水量が国内最高を更新したほか、静岡県伊豆市や埼玉県秩父市など、観測史上1位の記録を塗り替えた地点が続出した。

 その影響で長野県の千曲川など7県の約50河川、およそ70カ所で堤防が決壊。土砂災害も相次ぎ、12都県で70人以上が命を落とした。

 19号の特徴は、勢力を大きく落とさないまま上陸したことだ。

 通常、台風は水温が低い海域に入ると勢力が弱まるが、今回は水温が平年より1~2度高かった。このため「大型で非常に強い」状態で接近し、上陸時も「大型で強い」勢力を維持。長時間にわたり、東日本の大半が巨大な雨雲に覆われることになった。

 大型の台風や経験したことのないような雨は近年、珍しくなくなった。背景には、地球温暖化の影響があるとされる。そうだとすれば、今後も同等か、それ以上の災害に見舞われる恐れが強い。

 巨大台風の来襲や豪雨は常態化する。そう覚悟し、これまで以上に備えを万全にすることが求められる。

 急がれるのは、堤防の補強やかさ上げだ。

 政府は2020年度までに取り組む重要インフラ緊急対策として、本県の吉野川、勝浦川、海部川など6河川を含む116河川で強化、かさ上げを行う方針だ。緊急性や必要性をしっかりと見極めて進めてほしい。

 ダムの決壊を防ぐための緊急放流は6カ所に上った。昨年の西日本豪雨では愛媛県内のダムが実施した後、下流で被害が発生し、有識者検討会議が対策として事前の水位調節を提言した経緯がある。

 しかし、今回はいずれも事前放流をしなかった。適切な判断だったのか、検証しなければならない。

 警戒レベルが最も高い大雨特別警報は、一度の災害で最多となる13都県で発表された。命を守る最善の行動を呼び掛けるものだが、情報が十分に伝わらなかったり、避難が遅れたりした人は少なくない。周知の方法などには改善の余地があろう。

 重要なのは自治体、地域が防災力を高めることだ。同時に、これまでの災害が示しているのは、自助の意識の大切さである。一人一人が的確な判断、行動ができるよう、日頃から備えを怠らないようにしたい。