女子バレーボールの名門・金蘭会高校(大阪市)に今春進学する西川吉野さん(15)=徳島市立富田中卒=が、全日本中学校選抜の一員として、2月下旬から3月にかけ、オランダ遠征に参加した。初の国際舞台で現地の中学生や高校生と対戦し、世界の高さを感じながら手応えもつかんだ。進学する金蘭会は1月の全日本高校選手権(春高バレー)を制覇した強豪校。有力選手が集まる同校でレギュラーポジションをつかむとともに、全国タイトル獲得をも目指す新たな挑戦が始まる。

全日本中学校選抜の一員としてオランダ遠征に参加した西川吉野さん=徳島市の富田中学校

◆初の海外で感じた高さ

 「高さが違った。技術面でもうまく、動きも速かった」。初の海外遠征に臨み、現地で同世代の中学生と3試合、高校生世代のユースチームと1試合をこなし、世界基準の高さを肌で感じた。

アタッカーとして身長178センチ、最高到達点は288センチは、日本国内の同年代では屈指。そんな彼女にとっても海外の高さは、未知の体験だった。日本では同年代で自分より大きな選手と対戦することはほとんどなかったが、オランダでは180~190センチの選手たちが立ちはだかった。高いブロックを想定した練習を徳島で積んで臨んだものの、「気を抜いたら、やられる」とナーバスになった。

しかし、コースを狙って打ち分けるのが持ち味。慣れると、ブロックの間を打ち抜いたり、当ててブロックアウトにしたりと隙を付きながら得点した。

プレー以外に、日本を代表する仲間と生活をともにすることで「新しい発見があった」と振り返る。チームメートからは、技術面に加えて相手の特徴を見て分析する力、日常生活での気遣いなど多くの刺激を受けた。

 

◆高校年代で日本を代表する姉を上回りたい

 バレーボールは小学2年で始めた。2歳上の姉・有喜さん(17)=金蘭会高校2年=が地元の昭和ブライターズでプレーしていたことから入部。体格にも恵まれ、高学年になるとアタッカーとして活躍した。

 注目を集めるようになったのは中学に入ってから。ただ、姉の有喜さんが、全国屈指の強豪・金蘭会高校に進み、日中韓バレーの日本代表にも選ばれるなど活躍したため、常に「西川の妹」として見られた。また、吉野さんも姉と同じ長身のアタッカーだったため、どうしても比べられた。「比較されるのは嫌だった」と思いを率直に口にする。

 比べられるプレッシャーを跳ね除けたのは、負けん気の強さ。練習の待ち時間を利用して筋力トレーニングを行うなどストイックな取り組みもあり、実力を伸ばした。
2017年12月のJOCジュニアオリンピックカップで徳島県選抜をけん引。女子最優秀選手(JOC・JVAカップ)に選ばれた。同じポジションで、高校生年代を代表する姉を「上回りたい」と、言葉に力が入る。

徳島県中学総体で活躍する西川=2017年7月16日、徳島市立体育館

◆バレーボールの楽しさを仲間と感じた中学時代

 日の丸のユニホームを着るまでになった中学時代を「バレーの楽しさをより感じられた」と語る。ミスをしてもカバーしてくれる仲間、チームプレーが決まったときの達成感、得点を決めたときに仲間と分かち合えた喜び…。さまざまな思い出がよみがえってくる。

 3年生でキャプテンを任された。就任当初は「チームをうまくまとめることができなくて」苦しんだ。チームの代表として、厳しい言葉を掛けられることもあった。それでも、強い責任感を持って練習に励み、春の徳島県中学校選手権で初優勝を果たし、夏の県中学総体も制した。徳島県選抜のキャプテンという大役も務め「先生の指導や仲間の支えがあって最後までやりきれた」と周囲への感謝を述べる。

 

 

◆「徳島の代表として頑張って」 仲間の言葉を胸に新たなステージへ

 中学を卒業し、姉と同じ金蘭会高校へ進む。練習はもちろん厳しいが、チームワークの良さなど、姉の勧めもあって選んだ。2人で試合出場することも目標の一つだ。さらに、オールラウンダーとして、攻守に活躍したいとの思いもある。全国優勝を果たした金蘭会の元主将・林琴奈さんの名前を挙げ「チームをまとめ、プレーでは何でもできる。そんな選手になりたい」と抱負を語る。

 オランダ遠征で初めて日の丸のユニホームを着た。歴代受賞者に、ロンドン五輪銅メダルの木村沙織や狩野舞子らが名を連ねるJOC・JVAカップにも選ばれた。将来も日の丸をつけて活躍してほしいとの周囲の思いもあるが、本人は「バレーを続けて、もっと練習してふさわしい選手になれたら」と控えめだ。

中学のチームメートからは「徳島代表として頑張って」と送り出された。精鋭たちとの競争も待ち受ける高校生活。徳島の仲間の思いも胸に成長を誓う。