21日まで第72回の新聞週間である。「新聞を 開いて僕は 世界を知った」。代表標語は徳島市の津田中2年小林大樹さんの作品で、全国から応募のあった1万4235編の中から選ばれた。

 小林さんは、海外では紛争で教育を受けられない子どもがいることを徳島新聞が発行している「週刊阿波っ子タイムズ」で初めて知り、自分の生活を見つめ直したという。

 本県から初めて選ばれたことはもちろん、活字離れが進んでいる若い世代から選出されたことを喜びたい。

 インターネットや会員制交流サイト(SNS)を通じ、多種多様な情報があふれる時代である。ニュースもネットで見聞きする機会が増えていて、新聞通信調査会の最新統計によると、特に30代以下の世代では90%前後に上り、新聞の2倍になっている。

 ところが、情報の信頼度では満点を100とした場合、新聞は69・6点、ネット49・4点と大きく差がついた。しかも、新聞は前年より信頼度が増したのに対し、ネットは評価を落としている。

 徳島新聞を含む新聞各紙は、正確で公平・公正な報道に努めている。その結果が信頼度に表れたといえよう。

 とはいえ、既存のメディアに向けられる視線は厳しい。

 高知市で先月開かれたマスコミ倫理懇談会全国協議会の全国大会では、京都アニメーション放火殺人事件の犠牲者の実名報道を巡って意見が交わされた。実名を報じた地元紙などには「遺族の意向を無視している」といった批判が相次いだという。

 新聞の取材や報道の自由は国民の「知る権利」に応えるためのものだ。大きな事件・事故の核心を追究し、社会全体で事実を共有するため、実名報道を原則としている。

 そうした主張は、高い信頼があってこそ説得力を持つ。一方で、過熱する取材に対して批判が高まっているのも事実だ。プライバシーや人権に配慮し、自らの報道姿勢を常に見つめるよう肝に銘じなければならない。

 地域に軸足を置く地方紙の役割は、ますます重要になっている。

 防災に関しては、よりきめ細かい情報が欠かせない。東日本を襲った台風19号による深刻な洪水・土砂被害は、これまで何度も台風禍に見舞われてきた本県にも防止策の再点検を迫っている。

 近年多発している自然災害は、いつどこで起きても不思議ではない。被害の実態を自分たちの地域に照らし合わせ、必要な対策は何かを探る。地方紙はその検討、議論の土俵となるべきである。

 本県は他にも人口減少や、そごう徳島店の撤退問題など地域の活力に影響する懸案を数多く抱えている。徳島新聞は地元紙として住民や行政と共に、紙面を通じて街の在り方を考えていく責任がある。

 そうした役割を改めて自覚し、「公共財」としての信頼を高めていきたい。