何が感動をもたらすのか。みなぎる闘志、諦めない姿、手に汗握る激闘・・・挙げればきりがない。南アフリカに敗れはしたものの、ラグビーW杯での日本代表の戦いぶりに心を揺さぶられた

 日本の快進撃が大会を盛り上げているのは間違いないが、観客の熱い応援も一役買っていよう。野球やサッカーと違ってスタンドには両チームのファンが混在しており、けんかにならないか、ひやひやする

 先日、神戸で行われた南ア対カナダを観戦した際、前列に外国人6人が並んだ。南アのジャージーを着た男性が3人、カナダの国旗を持った家族が3人。敵同士で、さぞ居心地が悪かろうとずっと気になっていた

 試合は前半から南アが圧倒。トライのたび、男性3人は拳を突き上げ、拍手を送る。一方、カナダ人の家族は頭を抱え「オー、ノー」。国旗を振る機会が全くない

 それでも緊張感を欠く展開にならなかったのは、劣勢のチームをスタンドが励ましたからだ。ひとたびカナダがボールを持つと「行けー」と大歓声が湧く。カナダが挙げた1トライは、観客もスクラムを押したように見えた

 試合が終わると、すぐにカナダ人の父親が席を立った。落胆し帰ると思いきや、男性3人に声を掛け、一人一人と握手を交わした。これまたラグビーの魅力だろう。ノーサイドの精神に、じんときた。