今年に入って徳島県内で労災死亡事故が多発し、過去20年間で最悪のペースとなっている。20日に徳島市で起きた労災事故で死者数は7人に上り、昨年1年間の8人に迫る勢いだ。危機感を強めた徳島労働局は、業界団体への啓発や事業所への巡回指導に乗り出す。
労働局によると、今年の労災死亡事故の業種別の内訳は建設業が3人で、自動車整備業、医療保険業、軌道業(ロープウエー事業)、社会福祉施設が各1人。この時期としては、1998年の8人(年間では26人)に次ぐペースとなっている。事故現場は阿南市3、上板町2、徳島、小松島両市がそれぞれ1だった。
亡くなった7人のうち6人が50歳以上で、高所から転落したり落下物の下敷きになったりしたほか、機械に巻き込まれるケースもあった。基本的な安全手順を踏まずに作業を行っていたことが、大半の要因とみられる。
労働局は近く、各業界団体を通じてチラシを配り、安全確認の徹底を図る。また、労働局と労働基準監督署の職員が事業所や作業現場を訪れ、安全指導を強化する方針だ。
労働局は「慣れや過信がないか、機械や設備は正常かなど、基本に立ち返って安全を総点検してほしい」と注意を呼び掛けている。