本州や四国、九州の山間部に生息するヤマドリの雄が、美馬市穴吹町口山の亀井万美枝(まみえ)さん(74)になつき、散歩中の亀井さんの後ろをついて歩く姿がかわいいと近所の評判になっている。亀井さんが声を掛けると姿を現したり、山に戻ったりと“しつけ”はばっちり。亀井さんは「餌付けをしたわけでもないのに」と不思議がっている。
亀井さんは山間部の渕名地区で夫由幸さん(76)と2人暮らしで、5年ほど前から自宅近くの散歩を日課にしてきた。2月に散歩コースを坂道に変えたところ、自分の近くを歩く、尾まで1メートルほどある色鮮やかな野鳥に気付いた。
初めはキジの雌と思い、「キー子」と名付けた。散歩中に「キー子、おいで」と山肌に向かって声を掛けると近寄ってくる。そのまま付き添って近くの茶畑で遊び、自宅に付いてくることも。亀井さんが巣に戻るよう促すと、山へ帰るという。
亀井さんはキー子に会うのが楽しみとなり、散歩中に遊ぶ姿を1時間ほども眺めることもある。コメを与えようとしたが見向きもせず、雑草や虫をついばんでいる。
亀井さんの散歩に付き添い、チョコチョコと歩く姿が近所の住民の評判を呼び、今では散歩に同行する人も現れた。
3月初めには別のヤマドリ1羽を確認したが、こちらは近寄ってこない。亀井さんは「もう1羽が雌なら、キー子と一緒になってもらい、一家で散歩したい」と期待している。