勝浦川に架かる星谷橋を夜間に長時間露光で撮影。雲が流れる夜空に橋が浮かび上がった=勝浦町星谷

 お隣の高知県では「沈下橋」と呼び、徳島県では「潜水橋」。呼称は所在地で異なるが、洪水の際に流れの中に沈んでしまう橋がある。

 工期が短く架設費用が安いため、昭和20~30年代に全国各地で造られ、今でも400カ所以上が現役だ。川の多い県内にも約50カ所に架かっている。

 勝浦川の勝浦町生名と星谷を結ぶ星谷橋もその一つ。見頃はとうに終わっているものの、初秋には堤防にヒガンバナ、夏には河川敷にコオニユリが咲き、欄干のない橋と組み合わせて絵になる場所である。

 ここに初めて橋ができたのは大正時代という。今の位置よりも少し離れた場所に、木製の仮橋が備えられた。村営になった後の1923年に痛ましい事故が起こっている。幼児を背負い渡っていた女児を含む計5人が増水した勝浦川に転落し、命を落とした。

 事故を機に頑丈な木橋が造られたものの、何度も洪水で流され、35年にやっとコンクリート製の橋が架けられることになった。しかし、戦争激化で工事が中断。流されやすい部分のみコンクリートにする改修で終わった。 現在の橋になったのは戦後の49年になってから。数年後には抜水橋に替わる予定で、今の光景はもうすぐ見納めとなる。