旧吉野川に整備する湿地のイメージ図(国交省提供)

 国土交通省徳島河川国道事務所は、多様な生物が生息する湿地約4・5ヘクタールを旧吉野川沿いに整備し、コウノトリの餌場や営巣地に適した場所を確保する。国が吉野川水系で人工的に湿地を造るのは初めてで、2029年度の完成を目指す。

 湿地は鳴門市大麻町板東と藍住町乙瀬にまたがる、旧吉野川と板東谷川の合流点に整備。環境省のレッドリストで絶滅危惧II類に指定されているミナミメダカや準絶滅危惧種のヤリタナゴなどの生物6種が生息できる環境づくりを進める。ハス田やコウノトリの観察小屋などの設置も検討する。

 事務所によると、予定地は旧吉野川の河口堰から上流約10キロに位置し、現在は水田などが広がっている。堰上流域は水がかく乱しにくく、湾処や湿地だった場所に樹木が繁茂するなど環境が変化しているため、同所に湿地を再生し、コウノトリが好む環境づくりを進めることにした。湿地を整備する際には河岸の一部を掘削し、川の流下能力も高める。

 総事業費は19億2千万円。20年度から実施設計や用地買収などを行う。具体的な整備内容は、有識者や行政関係者らでつくるワーキンググループで協議する。事務所は「コウノトリの生息地にし、環境学習の場などにも活用できるようにしたい」と話している。

 国は河川の環境保全を目的に全国の河川で湿地を整備しており、高知県四万十市では02~14年度に国管理の中筋川で約10億円をかけて10ヘクタールの湿地を造った。