北井上西部土地改良区と関連団体の北井上西部環境保全協会(いずれも徳島市国府町西黒田)で発覚した使途不明金問題で、県警捜査2課と徳島西署は8日、使途不明金の一部の670万円を着服したとして、業務上横領の疑いで改良区前理事長で協会前代表の鎌田穗積容疑者(72)=同市国府町西黒田、無職=を逮捕した。鎌田容疑者は「間違いない」と容疑を認めている。
逮捕容疑は、2015年4月と同11月、北井上西部環境保全協会代表として管理していた協会名義のJAバンクの口座から5回にわたって計670万円を引き出し、着服したとしている。
捜査2課によると、着服金は「理事長一時立て替え」の名目で、協会の二つの口座から1回当たり20万~300万円を引き出していた。事務員が不在だった4月は鎌田容疑者が自ら引き出し、11月は事務員を介して出金した。他の理事らのチェックは受けていなかった。
県などの調査によると、土地改良区と協会にはほかにも15年度に計318万9千円の使途不明金があり、県警は鎌田容疑者が関与していないか調べる。
土地改良区と協会の使途不明金は16年1月ごろに発覚。改良区関係者が県警に刑事告発し、県警が同3月に受理した。県警は今年1月に鎌田容疑者宅を家宅捜索するなどして、捜査を進めていた。
鎌田容疑者は改良区理事長に1998年、協会代表には2012年6月に就任し、いずれも問題発覚後の16年4月に退任している。
同容疑者はこれまでの徳島新聞の取材に対し「(引き出した金は)揚水場を改修するための事前調査をしてもらったコンサルタント業者へのお礼などに使った」などと話していた。