平時はお遍路さん向けの宿泊所で、災害時には避難所となる「シームレス(つなぎ目のない)民泊」の営業が8日、阿南市新野町の四国霊場22番札所・平等寺で始まった。
同寺で開所式があり、県や市などの関係者約50人が参加。谷口真梁(しんりょう)副住職(38)らが宿泊所名「坊主の宿」の看板を取り付けた後、飯泉嘉門知事や岩浅嘉仁市長らと共にテープカットした。早速、お遍路さん2人が利用し、谷口副住職が部屋へ案内した。
宿泊者の山下正樹さん(72)=奈良県大和郡山市=は、関西の先達でつくる歩き遍路の会会長で「今後のために下見に来た。平等寺周辺には宿が少なく、民泊ができるのは助かる」と歓迎した。
シームレス民泊は、住職らが居住する庫裏の客間3部屋を充てる。トイレ、風呂、台所も備えており、3組限定で最大7人を受け入れる。大規模災害時には避難所として活用する。
内陸部にある新野地区は南海トラフ巨大地震の津波被害を受けにくいため、避難施設を提供する役割が期待されており、県や市、住民有志が準備を進めてきた。同地区では他の4軒も開業を目指している。