徳島県内の弁護士や司法書士、社会福祉士らでつくる「とくしま高齢者・障害者権利擁護ネットワーク(愛称・とくしま絆ネット)」(代表・藤澤和裕弁護士)の事務局職員が4月から不在となり、障害者らの電話相談などに応じられなくなっている。業務委託先の県社会福祉協議会(徳島市中昭和町1、県社協)が3月末で契約を解除したためで、正当性を主張する県社協に対し、絆ネットは「一方的な解除」と批判している。

 絆ネットは、高齢者や障害者の財産管理や虐待、悪質商法の被害防止などを目的に2011年8月に発足し、弁護士らが各地で無料相談会を開くなどしていた。
 
 県社協とは年5万円で事務委託契約を締結。社協内に事務局を設け、県社協の職員数人が電話相談に応じたり無料相談会の会場設営に当たったりしていた。
 
 ところが、県社協が3月23日に「委託料が低額な上、業務内容が多岐にわたり負担が大きい」などの理由で、同月末での契約解除を絆ネットに文書で通知した。
 
 絆ネットが県社協と交わした契約書では、契約を解除する場合は1カ月前までに通知し、その後両者が協議すると定めていた。絆ネットは「契約を解除する約1週間前に通知され、協議も行われていない」として、県社協が契約に違反していると訴えている。
 
 一方、県社協は「2月20日に藤澤代表に口頭で事前通知した」として、契約の解除は適法だと主張している。
 
 絆ネットは当面、個人会員に事務局を担当してもらう方針。訴訟などの法的措置は現在検討しておらず、新たな事務局の設置に向けて協議を続けている。
 
 藤澤代表は「早急に事務局を設置して関係者に迷惑を掛けないよう体制を整えたい」と話している。