昨年5月に美馬市美馬町の国道の三頭トンネルでワゴン車を居眠り運転し、対向の軽乗用車と衝突して5人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)罪に問われた前美馬市長の牧田久被告(75)=同市美馬町柿木、無職=の論告求刑公判が13日、徳島地裁(坂本好司裁判長)であった。検察側は「被告人の過失は一方的で重大」として禁錮7年を求刑し、結審した。判決公判は5月24日に開かれる。
検察側は論告で「眠気を覚えてから休憩できる場所が複数あったのに漫然と運転を継続した。被害者に落ち度は全くなく、遺族らの処罰感情は厳しい」と指摘した。
弁護側は最終弁論で「重大な結果の可能性を認識しながらあえて運転を続けたのではない。著しく悪質とは言えず、真摯(しんし)に反省している」とした。
牧田被告は最終陳述で「謝って許していただけるものではないと思っています。生きている限り謝罪し、償いをしていきたい」と述べた。
起訴状などによると、牧田被告は昨年5月5日午後4時14分ごろ、同市美馬町上野田ノ井の三頭トンネルでワゴン車を運転中に居眠り状態に陥り、中央車線をはみ出して対向の軽乗用車と正面衝突した。軽乗用車に乗っていた70代の男女4人=いずれも高松市=のうち男女3人を死亡させ、女性1人に6カ月の重傷を負わせたほか、ワゴン車に同乗していた70代の妻にも2カ月の重傷を負わせたとしている。
牧田被告も重傷を負い、事故の責任を取って昨年5月16日付で市長を辞職した。