約8カ月ぶりとなる衆院予算委員会の集中審議が開かれた。公選法違反疑惑に絡む菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の辞任後、安倍晋三首相が審議の場に出席したのは初めてとなる。

 長期政権によるおごりや緩みが指摘されており、首相の政治姿勢にも厳しい目が向けられている。任命責任をどう果たすのか、どのように疑惑解明に取り組んでいくのか。首相の答弁が最大の焦点となった。

 首相は両氏の辞任について陳謝したものの、登用した判断は「適材適所」だったとの認識を強調。責任の取り方については「行政を前に進めることが国民への責任だ」と、これまでと同様の答弁を繰り返した。

 辞任はいずれも週刊誌報道によるもので、国会での説明責任は果たされていない。にもかかわらず、首相は2人に対して直接、事実関係をただそうとしないばかりか、説明を促す考えも示さなかった。疑惑解明に向けた決意も示されず、失望を禁じ得ない。

 2012年の第2次安倍政権発足後、今回の2人を含めて10人の閣僚が辞任している。半数以上は「政治とカネ」の問題が原因だ。

 審議の中で野党議員が、今後新たに閣僚の辞任は起きないと断言するよう迫ったが、首相は「これ以上の遅滞がないよう全力を尽くす」と述べるにとどまった。心もとない限りである。

 なぜ、不祥事が繰り返されるのか。反省と謝罪を口にするだけで、事実解明にふたをし、その場しのぎの対応を続けてきたからではないか。これでは到底、信頼回復などできない。首相は事態の深刻さを真摯に受け止めるべきだ。

 もう一つの焦点は、大学入学共通テストを巡る政府の対応だ。

 英語民間試験の導入は、萩生田光一文部科学相の「身の丈に合わせて」との発言を機に地域的、経済的な格差などの課題が顕在化し、見送りになった。

 国語と数学の記述式問題についても、制度上の不備があるとして導入見送りを求める意見が相次いでいる。

 大学入試制度改革は、安倍政権が進める教育改革の目玉だが、新入試制度に対する受験生や保護者、学校関係者らの懸念は強まるばかりだ。

 公平・公正な制度へ抜本的に見直すとともに、導入決定に至った経緯についてもしっかりと検証する必要がある。

 主要野党は今回「不祥事ばかり起こす安倍内閣の本質を問う」との位置づけで臨んだという。内閣支持率は依然高止まりしており、政権を揺さぶる好機と捉えたからだ。

 しかし、結果的には首相に何度も同じような答弁を許すなど、踏み込み不足の感が否めなかった。

 集中審議はきょう、参院に移る。改めて首相の任命責任の在り方を厳しく問い、真に国民の信頼を回復するための場にしなければならない。