皇后さまの笑顔に、皇室の新時代を実感した人は多いだろう。あすは両陛下の即位祝賀パレードが行われる。

 代替わりの関連行事が続く中、皇室に対する国民の関心は高まっている。懸案となっている「安定的な皇位継承」の議論を進める絶好の機会だ。

 11月中旬以降、本格的な検討作業に入る見通しだが、政権内部では来春以降に先送りする案も浮上しているという。早急に着手すべきだ。

 現状は既に「綱渡り」と言える。今夏、秋篠宮さまと長男悠仁さまは親子でブータンを訪問。往復には飛行機が2機用意され、1人ずつ別々の機に乗られた。政府が万一の事態を恐れたからだ。

 皇室典範によれば、お二人は皇位継承順位第1位と同2位。3位は高齢の常陸宮さまで、4位以下はいない。

 対策が何も取られなかった場合、皇室が未来へ続くためには、悠仁さまが結婚し、お相手が男子を産むしか手立てがない。「お世継ぎ問題」での皇后さまの精神的苦痛を思えば、妃となった女性にかかる重圧は計り知れない。

 共同通信が10月下旬に実施した世論調査では、女性天皇について賛成81・9%、反対13・5%。母方が天皇につながる女系天皇では賛成70・0%、反対21・9%となった。皇室の将来への危機感と男女平等の世相を反映している。

 諸外国を見渡せば、英国やデンマークは女王を戴き、オランダ、ベルギー、スペイン、スウェーデンも次世代の王位は女性が継ぐ。

 女性・女系天皇を選択肢とした議論が進まないのは、安倍晋三首相本人とその支持基盤である「保守派」と言われる人々の「男系維持」の考えがある。女性天皇を認めれば、その配偶者との間に生まれた子が後を継ぎ、前例のない女系天皇が出現するのではないかという懸念だ。

 先月23日、自民党の保守系グループは、戦後皇籍を離れた11宮家につながる未婚男子を皇室に戻す案を提言した。本人同意の上で皇族の養子か、女性皇族の婿養子に入る形での皇籍復帰だ。首相の考えに近い保守派からの問題提起だけに、事態を動かす契機になりそうだが、実現にはいくつもの壁が立ちはだかる。

 旧宮家はいずれも伏見宮の流れをくみ、現陛下との男系の共通祖先は約600年前、室町時代にさかのぼる。「男系維持」と言えるのかどうか。

 皇籍離脱から70年以上が過ぎ、皇族復帰を望む旧宮家の若者が実際にいるのか、という根本的な問題もある。

 2年前の世論調査では反対が72%を占め、「女性・女系天皇を容認すればよい。旧皇族の復帰は必要ない」という回答が最も多かった。

 衆参両院は、上皇さまの退位特例法の付帯決議で「安定的な皇位継承のための諸課題、女性宮家の創設などを速やかに検討すること」を政府に求めている。まずは、いつ検討作業を始めるかに注目したい。先送りは許されない。