イラスト・伊藤司郎

 一日に何度も便意を催す

 【質問】50代男性です。突然の下痢症で困っています。一日に何度も大便をしたくなります。医師から、ストレスや冷えが要因で下痢になる「過敏性腸症候群」との診断を受けました。歩き遍路に出たいと思っていますが、トイレのことが気になって出掛けることができません。排便を規則的に毎朝するにはどうすればいいですか。

 規則的な食生活と運動を

 【答え】日比野病院・日比野真吾副院長 

 過敏性腸症候群とは、原因となるような潰瘍などの病気がないのにおなかの調子が悪く、痛みや、便通の異常が続く病気です。日本では約10%の人がこの病気であると言われています。日常生活に支障を来すことがあるものの、命に関わる病気ではありません。便の状態で下痢型、便秘型、その両方を繰り返す混合型と分類不能型があります。相談の症状はこのうちの下痢型だと思います。

 腸と脳は常に信号を送り合って綿密に情報交換しています。情報交換がうまくいかなくなると腸の運動が乱れ下痢になります。腸の感覚が敏感になって痛みを感じて脳に信号を送る場合と、逆に脳がストレスや不安を感じて腸に信号を送る場合があります。この情報交換を正常に近づけると症状は改善します。

 治療はまず生活習慣を見直して規則正しい生活を心掛けましょう。暴飲暴食を避けて規則的な食生活を送り、睡眠や休養を十分に取りましょう。脂肪分、香辛料などの刺激物、アルコール、乳製品やある種の糖分は下痢をひどくすることがあります。自分でストレスと認識していなくても症状の原因になる場合があります。適度な運動は腸の働きを整え、ストレスの解消になります。

 治療の第2段階は飲み薬です。腸の運動、水分量、腸の中の細菌を調整する薬などを用います。不安を和らげる薬やセロトニン受容体拮抗薬もあります。

 もう一つの治療は心理療法です。おなかの症状の不安に対して行います。海外で多くの実施例があり、日本でも近年研究が進んでいます。

 症状はゆっくりと改善することが多く、よくなってきたと実感するまでに時間がかかることもあります。いきなり結果を求めて焦らずに、少しずつ改善を図るのがポイント。近所の散歩から始めて徐々に距離を延ばして歩き遍路を目指しましょう。

 かかりつけ医と相談し、根気よく治療するのが大切です。