水面に美しい模様が描かれるノリ養殖ののりひび=徳島市上吉野町

 風が冷たさを増してくる11月初旬。徳島市の吉野川河口から鮎喰川との合流点までの汽水域で、ノリを養殖する網の敷き込み作業が始まる。

 潮の引いた浅瀬に次々と支柱が運び込まれ、網が張られていく。筆者が子どもの頃、支柱は竹ざおで、網も地味な色だったように記憶しているが、今の支柱は金属製などで網はとてもカラフル。青い水面に赤い網のコントラストが目にまぶしい。

 ノリ養殖の支柱が並ぶさまを「のりひび」と呼ぶ。一方、ずらりとブイが並ぶ光景も見ることができるが、こちらは水深の深い場所で網を水中に垂らす「浮き流し方式」という。

 いずれも、主にスジアオノリを養殖している。お好み焼きに振りかける「青のり」や、菓子や餅に練り込まれる材料として使われており、独特の潮の香りがする。

 徳島県のスジアオノリの生産量は全国一で、全体の約8割を占める。吉野川には淡水と海水が混ざる広大な汽水域があり、養殖地として最適とのこと。上流から運ばれる栄養と、海の養分とで成長が促されている。 網が敷き込まれ、2~3週間もすると収穫が始まる。寒風吹きすさぶ中での作業は、冬の風物詩の一つとして知られている。