写真を拡大 松江所長の功績について語り合ったパネルディスカッション=鳴門市の鳴門教育大
写真を拡大 日独交流などについて語る松平健さん
写真を拡大 パネルディスカッションを終え、握手を交わす(左から)大石副学長、松江さん、泉市長、齋藤副市長、髙木さん‖鳴門市の鳴門教育大

 鳴門市と福島県会津若松市との親善交流都市提携20周年を記念したシンポジウム「松江豊壽が遺したもの」(鳴門市主催、徳島新聞社など共催)が9日、同市の鳴門教育大であった。人道的な運営で「奇跡の収容所」と呼ばれた板東俘虜収容所の松江豊寿所長=会津若松市出身=の子孫らがパネルディスカッションし、所長の功績を語り合った。

「松江所長 捕虜に敬意」

 9日に鳴門市の鳴門教育大で開かれた板東俘虜収容所の松江豊寿所長を顕彰するシンポジウムには約500人の聴衆が訪れ、関係者の話に耳を傾けた。

 パネルディスカッションでは、同市の泉理彦市長と会津若松市の齋藤勝副市長、鳴門教育大の大石雅章副学長、松江所長の孫行彦さん(73)、所長と捕虜のパイプ役となった髙木繁副官の孫康男さん(60)の5人が意見交換した。

 市長らが、松江所長がドイツ兵捕虜を人道的に扱った背景には、旧会津藩士の子として敗者の痛みを知っていた精神性や、他者を受け入れる板東の気質があったことを紹介した。

 行彦さんは「祖父はドイツ人との違いに目を向けるのではなく、共有できる部分に敬意を払っていたと思う。収容所の運営を楽しんでいたのだろう」と指摘。康男さんは「自国さえ良ければいいという風潮がまん延している今だからこそ、素晴らしい交流が生まれた板東の史実を世界の人に知ってほしい」と語った。

 収容所が舞台の映画「バルトの楽園」(2006年公開)で所長役を演じた俳優松平健さんのトークショーもあった。今も続く日独交流について松平さんは「松江所長も喜んでいるはず。さらに続くことを願っている」と話した。

両市中高生で「第九」

 会津若松市の齋藤勝副市長はシンポジウムの中で、松江豊寿所長の生誕150年となる2022年に、同市と鳴門市の中高生がベートーベンの「第九」を合唱する構想を明らかにした。

 齋藤副市長は、松江所長の人道精神や平和の大切さを子どもたちに伝えていく必要性を強調。鳴門市の泉理彦市長と今後の交流の在り方を話し合ったとし「中高生による合唱の交流を発展させていきたい」と述べた。