10日投開票された阿南市長選で初当選した元市議の表原立磨さん(44)=富岡町あ石=が11日、宝田町の事務所で今後の展望を語った。行財政改革への意欲を改めて示したほか、市東京事務所の見直し、自らの給与カットなどに取り組むとした。

写真を拡大 今後の取り組みについて語る表原さん=阿南市宝田町の事務所

 ―多くの県議や市議が現職を支持する中での勝利だった。

 現職の4期16年を支持した人が1万5300人以上おり、市を二分する戦いだった。行財政改革の推進にはさまざまな壁がある。誠実、正直、謙虚に市民に向き合い、道を切り開いていきたい。

 ―多数の市議と選挙で対立した。市議会運営に不安はないか。

 市長就任まで1カ月近くある。各部署とコミュニケーションを図りながら、市議会12月定例会に向けてしっかりと準備したい。

 ―まず何に取り組むのか。

 行財政改革が一丁目一番地だ。自らの給与カットで範を示して事業の棚卸しをする。市東京事務所は費用に見合う効果を生んでいない。廃止も含めて見直す。無駄を省き、財源を子育て支援や高齢者福祉の分野に振り向けたい。

 ―公共施設の整理をどう進めるか。

 施設の利用状況をはじめ、近隣に類似施設や民間の代替施設がないかをまず調べたい。住民の声を聞きながら中長期的に見直しを図っていく。

 ―人口減が大きな課題となっている。

 小規模住宅の整備を促進し、地域の大企業で働く若者の地元定住につなげたい。

 ―飯泉嘉門知事が現職の集会で応援演説をした。県との連携体制をどう築いていくか。

 国や県との個人的なつながりは以前からある。意思疎通を図り、つながりを強めていけるよう努力していく。

 ―どんな市長を目指すのか。

 市民の声が集まりやすい柔らかな雰囲気を大切にしたい。現職は誰とでもざっくばらんに話ができる方だったので見習いたい。

表原氏の主張

一、市長給与5割カットを呼び水にした行財政改革の推進

一、所得制限なしで給食を含めた0歳児からの幼保完全無償化

一、乗り合いタクシーなど高齢者の移動サービス、買い物支援策を推進

一、小中学校のトイレを洋式化し、老朽化した校舎を改築

一、河川流域の洪水・浸水・地震対策、事前復興のまちづくりを推進

一、阿南医療センターの人材確保

市民の期待や要望

 新しい阿南市政や新市長の表原立磨さんに何を期待するか、市民に聞いた。

 「災害弱者」守って 加藤眞由美さん(65)椿泊町小吹川原、農業

 地震や台風などの自然災害が相次いでおり、津波が発生した際の避難に不安を感じている。地域住民の取り組みだけでは限界がある。高齢者や障害者ら「災害弱者」の命を守る行政の手厚いサポートを期待したい。

 中小企業の支援を 岡本忠晃さん(45)羽ノ浦町中庄、自動車販売業

 新しい人に変わったからには、今までと同じ市政ではなく、若者らしい挑戦を期待する。市を活気づけるには中小企業に対する支援も不可欠。地元企業の発展に結び付く施策を打ち出し、まちを良くしてもらいたい。

 子育て策を手厚く 吉井誉伽さん(23)見能林町志んじやく、県臨時職員

 おなかに子どもがいて、3歳の娘の育児と仕事の両立に苦労している。公約に挙げた幼保完全無償化はもちろん、乳幼児から受け入れ可能な保育体制を整え、子育て世代が生活しやすいまちにしてほしい。

「奇跡起きた」と喜び 表原陣営

 阿南市長選は、元市議で新人の表原立磨さん=富岡町あ石=が1252票差で現職の5選を阻止し、初当選した。若さを前面に打ち出した表原さんは「奇跡が起きた」と顔を紅潮させ、支持者と抱き合って喜びを爆発させた。

 10日午後10時半ごろ、宝田町今市の表原さんの事務所に当選の報が入ると、支持者約100人は飛び上がって大喜び。間もなく姿を見せた表原さんと抱き合ったり、握手を交わしたりした。

 地元県議や市議の大半は相手候補を支持。陣営が「大阪城に竹やりで挑むような戦い」と評するように、表原さんは有権者一人一人を回る「どぶ板選挙」に徹した。

 万歳三唱の後、マイクを握った表原さんは「真っすぐに背筋を伸ばして歩んでいきたい」と感謝の言葉を繰り返した。

岩浅さん「私の力不足」

写真を拡大 硬い表情で敗戦の弁を述べる岩浅さん=10日午後10時40分ごろ、阿南市才見町の事務所

 「及第点をもらえなかった。私の力不足です」。落選した岩浅嘉仁さん(65)=無所属、日開野町西居内=は硬い表情で支持者約130人に頭を下げた。

 選挙事務所には「何で」「えー」と落胆と驚きの声が入り交じった。岩浅さんは「ありがとうございました」「すまんな」などと述べ、一人一人と握手を交わした。

 県議3人と市議20人をはじめ、各種団体の支援を受けて組織戦を展開。4期16年の実績をアピールしたものの及ばなかった。岩浅さんは「多選批判の声は聞こえてきていない」とした上で「今後の進退はまったくの白紙だ」と語った。