ステーツマンは先見の明があり、無私の心で国政に当たる政治家、ポリティシャンは私利や党利を追求する政治屋と、米国では区別するようだ。では、このご仁はどちらか

 トランプ米大統領が、地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定を「恐ろしくコストが高くつき、不公平だ」とけなし、離脱を国連に通告した。協定が発効して3年。通告可能になった初日の早業だった

 スウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさんら若者の対策強化を訴える運動の高まりもお構いなし。グレタさんが各国首脳に突き付けた「全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。私たちを失望させる選択をすれば決して許さない」との警告にも耳を貸さなかった

 米国は世界第2位の温室効果ガス排出大国。温暖化が原因とみられる異常気象が猛威を振るい、大規模な山火事やハリケーンがたびたび発生している。それでもトランプ氏は「米国の大気は地球上で最もきれいだ」とうそぶく

 これも1年後の大統領選を見据えた戦略にほかなるまい。石炭や石油など化石燃料産業から支持を得ようと、次々と環境規制の緩和方針を打ち出している

 「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の時代のことを考える」。17世紀の米国の牧師が語ったとされる言葉に照らせば、トランプ氏がどちらかは明らかだろう。