新種認定を申請中の「勝浦雛桜」=26日、勝浦町三渓

 勝浦町の住民有志が、地域で古くから愛されている桜の交配種を「勝浦雛(ひな)桜」としてPRしようと、公益財団法人・日本花の会(茨城県結城市)に新種の認定を申請した。地域独自の園芸品種としてお墨付きを得て、町おこしに生かす。認定されれば県内で初めて。

 千葉大大学院園芸研究科の中村郁教授のDNA鑑定によると、勝浦雛桜はヤマザクラとエドヒガンザクラの交配した雑種が元で、さらにヤマザクラと数回交配して生まれたとみられる。つぼみの色が紫がかった濃いピンクで、花びらの大きさが約3センチと少し大きめなのが特徴だ。

 同町坂本、農業東山倍彦さん(71)によると、桜は同町の三渓地区に100年以上前からあり、町内に株分けされて現在は数百本に増えている。

 東山さんは桜を町の魅力発信に活用しようと昨年11月、中村教授に葉のDNA鑑定を依頼。同月中に結果が出た。

 その後、桜を育てている町民有志に呼び掛けて会合を重ねた。「ビッグひな祭り」などのひな祭り行事が盛んな勝浦町らしさと、響きのかわいらしさから「勝浦雛桜」と命名し、日本花の会の「園芸品種認定制度」に応募し、書類や桜の花を送った。

 花の会によると、認定制度は2013年に始まった。同会は500種類ほどある既存の品種との類似性がないかを検証する。これまでに申請のあった11件のうち、10件を認定している。

 現地調査も行うため認証の可否決定は来春以降になるが、今のところ勝浦雛桜と類似する花はないという。

 東山さんは「勝浦雛桜を多くの人に知ってもらい、観光に来る人が増えたらうれしい」と認定を心待ちにしている。今シーズンは、ソメイヨシノより少し早い4月1日ごろに見頃を迎えそうだ。