政府が2016年8月以来約3年ぶりとなる経済対策に着手する。総額で数兆円規模になる見通しだ。

 相次ぐ自然災害を踏まえ、インフラ整備や被災地の復旧などを柱に、米中貿易摩擦による海外経済の下振れリスクにも対応する。

 来月上旬をめどに取りまとめ、19年度補正予算案と20年度当初予算案の二段構えで編成する方針だ。

 20年度の予算は要求段階で既に過去最高を更新している。財政健全化がさらに遠のくことが懸念され、経済成長との一段のバランスが求められよう。

 復旧・復興への取り組みの加速や経済の下振れリスク対応、経済力の維持など、対策の名目は多岐にわたるが、急がれるのは災害への対応だ。

 具体的には、決壊した堤防や道路の復旧工事、ダムや河川施設の増強など防災機能の強化のほか、被災農家の営農再開に向けた施策なども盛り込む予定にしている。

 台風19号などの被害は甚大だ。インフラ整備への緊急性も高く、引き続き手厚い支援が望まれる。

 ただ、会計検査院がまとめた18年度決算検査報告では、災害対策事業での税金の無駄使いや制度の改善が指摘された。事業に対する客観的な評価を怠ってはならない。

 政府が警戒しているのは、米中摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題の影響が国内に波及し、景気を腰折れさせる事態だ。

 実際、中国経済の変調で製造業に業績の悪化傾向が広がっている。個人消費に関しても、「マインドは決して良くない」との見方が少なくない。内閣府は8日発表した9月の景気動向指数速報値で、基調判断を2カ月連続で「悪化」とした。

 消費増税後に追加の対策を打つこと自体は既定路線で、専門家の間では「違和感はない」という。それでも、具体的なリスクが明確に見通せているわけではない。国民の理解を得る努力が欠かせない。

 ばらまきの疑念を抱かせるのが、来年の東京五輪・パラリンピック後の対策だ。景気減速を防ぐため、外国人観光客の増加につながる施策も進めるとしているが、果たして緊急を要するものなのか。

 先に開かれた経済財政諮問会議では民間議員から、経済を悪化させないため需要面で万全の下支えをすべきだとの意見が出たという。

 日本経済を取り巻く環境が厳しくなっており、危機感は理解できる。しかし、財政赤字が膨らむ中、経済対策は喫緊の課題に絞るべきである。

 政府・与党内には早くも予算規模拡大への期待が膨らみ始めているという。2閣僚辞任などで逆風にさらされ、「政権浮揚策」の思惑も透けてみえる。

 安易な需要の積み増しは許されない。無駄を徹底的に省き、効果的で持続的な成長につながる政策への投資に努めるべきだ。