ワイン造りに向け、ブドウの苗木を植える井下さん(右)=三好市三野町太刀野

ワイン造りに向け、ブドウの苗木を植える井下さん(右)=三好市三野町太刀野

 日本酒の産地として知られる三好市で、住民が地元産のブドウを使ったワイン造りを計画している。中心となっているのは、ソムリエの資格を持つ井下奈未香さん(34)=同市池田町マチ。市内の休耕地を活用してブドウの苗木の植え付けを進めており、2018年中の試作品の完成を目指している。

 井下さんは奈良県出身で、25歳から大阪のワイナリーやワインショップで働き、日本ソムリエ協会のソムリエ資格を取得した。3年前、結婚を機に三好市に来た後も味や醸造の勉強を続けており、自らワインを造ることを思い立った。

 農業の経験はなかったが、昨春、高齢化や後継者不足のため耕作できなくなっていた同市三野町の畑を知人のつてで借り、ブドウ栽培を開始。赤ワイン用品種「ヤマソーヴィニヨン」の苗木100本と白ワイン用品種「甲斐ブラン」60本を、知人のソムリエや住民有志と一緒に植えた。17年3月上旬にも、住民ら約10人と共に赤ワイン用の品種「ピノノワール」200本、白ワイン用の品種「リースリングリオン」100本を植樹した。

 18年秋にブドウ約100キロを収穫し、同年内に醸造することを目標にしている。醸造は大阪のワインメーカーに委託し、徐々に生産量を増やして、関西や徳島でのイベントで販売を始める予定。生産を前に今夏、同市池田町の阿波池田駅前通り商店街にワインショップもオープンさせる。

 井下さんは「自分の人生をワインにかけたい。この場所でどのようなワインが造れるのか楽しみ」と話している。