国語が苦手な受験生に、腕利きの家庭教師が付いた。テストでは問題文は読まなくていいとか、設問の選択肢のうち、文章が一番長いものと短いものは正解ではないとか、型破りの教え方をする

 「本文の内容を三十字にまとめよ」のような要約問題は「最低の愚問だと思っていい」と断じる。理由は「三十字で言えることなら原作者が三十字で言ってるはずじゃないか」。解答法も「愚問には愚答で」と唱える。具体例を挙げず、抽象的な語句だけをずるずるとつなげるなど、役所の文書を参考にする、といった具合だ

 清水義範さんの「国語入試問題必勝法」の一こま。三十数年前のユーモア小説だが、なかなか本質を突いていて、入試問題の在り方を考えさせられる

 文部科学省は、来年度から始める大学入学共通テストの国語と数学に記述式問題を導入する方針だ。狙い通り、受験生の思考力、表現力、判断力を測ることができるのだろうか

 50万人の受験生が文章を書けば、一人一人違った答えが出てこよう。そこから受験生の力をどう見抜き、評価するのか。採点者にはアルバイトも含まれる。採点の質や公平性への懸念が強まるのは当然だろう

 小説では、受験生は目標の大学に見事合格する。ただ、点数は取れるようになったものの、国語力は低下してしまうという結末を迎える。