黄色の手袋を着けた2万人のランナーが天に手を掲げ、復興の象徴「ヒマワリ」を表現しました。1995年1月の阪神大震災から、まもなく25年。復興を遂げた神戸市で「神戸マラソン2019」があり、参加しました。

ランナーは黄色の手袋を着け、復興の象徴「ヒマワリ」を表現

 今シーズン初のフルマラソンです。とりあえずの目標は「ギリ4(ぎりぎり4時間未満の完走)」。スタート前から“ぎりぎり”という設定で逃げ道を作っています。

 秋晴れの下、神戸市役所前を出発。震災時の私は中学生で、焦土と化した街並みや傾いた高速道路など、報道で知る被災地の現状に驚くばかりでした。しかし、今は震災の爪痕を感じせない美しい街並みが広がります。にぎやかな声にも後押しされ、明石海峡大橋を目指します。

瀬戸内海を眺めながら明石海峡大橋を目指す

 自分の中でフルマラソンで大事にしているのは、気持ちに余裕を持つこと。過去の経験からサブ4達成には、22キロ地点を2時間以内に通過すれば、後は1キロ6分ペースまで落ちても4時間以内で完走できます。

 今回、22キロ地点の通過タイムは想定通りの1時間59分。明石海峡大橋付近を折り返し、特に足の痛みもなく、きれいな瀬戸内海を眺めながら淡々と市街地へ走っていました。

阪神大震災から復興を遂げた街並み。多くの市民が応援に駆け付けた

 すると、少しずつ口の乾きが気になり始めました。給水は十分取っていたつもりでしたが、それ以上に消費が多かったのでしょう。水分不足は完走を阻む危険な兆候で、頭の中は「水」でいっぱいです。

 そんな中、目に入ったのが「コーラ」です。コース沿いでは至る所で、住民の皆さんが飲食のおもてなしをしており、 私設エイドでは定番の飲み物です。  プロランナーは間違いなく飲まないでしょうが、 私は無類の炭酸好きで、しかものどがカラカラ。手を伸ばしたのは言うまでもありません。

 1杯だけなら良かったのでしょう。心の中のリトル(矢)から「あそこにもある。もう一軒いっとく?」と誘われ、次々とはしご。口はなかなか潤わないのに、お腹はチャプンチャプン…。でもやめられません。この記事を書く際に、「結局、何杯飲んだのだろう」と振り返っても、覚えていないぐらい。紙コップで6、7杯だったように思います。
 
 30キロ手前から段々と胃が痛くなり、ペースもキロ6分、6分30秒、7分と落ちていきました。レース翌日に先輩ランナーから「コーラは逆に口が乾くだろう? その時はおいしいけど」。欲望に負けて飲み過ぎました。

 ただサブ4達成は難しくなっても別にがっかりすることはありません。苦しい言い訳ですが、感謝の気持ちで最後まで歩かずに走り切ることが私の最低限の目標。コースを通じて途切れることのない声援は都市部のマラソンの魅力でしょう。

ポートアイランドに向かう浜手バイパス。最大の難所と言われる

 ゴールの人工島ポートアイランドまで後少し。最大の難関と言われる浜手バイパスに入ります。急勾配では高校生らのボランティアが懸命に声を出し、重たい足を動かしてくれます。ゴール近くでは元気なおばちゃんが手をぐるぐる回して「兄ちゃん、いけぇ!」との激をもらいました。全くの赤の他人から、そんなに力強く応援してもらえると胸にくるものがあります。

 神戸マラソンのテーマは「感謝と友情」。震災支援の恩返しにと街を挙げてランナーを迎えるとともに、全国で相次ぐ被災地にエールで返そうという趣旨のようです。応援する側にも、される側にもたくさんのヒマワリが咲きました。その1輪になれたことに感謝です。

 完走タイムは4時間18分。間違いなく練習不足でしょう。計算通りにいかないのがマラソン。この反省を生かし、これから十分鍛えていきたいと思います。次戦は24日、ホームグラウンドとも言うべき吉野川市リバーサイド・ハーフマラソンです。落ち込んでいる暇はありません。(矢)

4時間18分でゴール。最後まで途切れることのない応援だった