太陽の下でハンマーを振り上げる宮中要春さん

バスを降りて剣山に向かって歩く宮中さん

岩穴の中でろうそくの火を見つめる宮中さん

 西日本第2の高峰剣山は戦前から数十年間、古代イスラエルのソロモン王が秘宝を埋めた伝説があるとして騒がれ、全国から元軍人や学者らが探しに訪れた。日本写真家協会会員西田茂雄さん(69)=徳島市八多町金堂=は20代の頃、宝探しに夢を懸けた男に焦点を当てた作品を手掛けた。このうちモノクロの自信作約40点を紹介する写真展「ソロモンの秘宝発掘に挑んだ男」を19~24日、京都市東山区の京都写真美術館で開く。

 被写体となったのは、石井町出身の宮中要春さん(故人)。剣山の頂上近くで1957年から24年間、採掘に挑んだ。西田さんは宮中さんの生き方に感激し、72年から約5年にわたって剣山に登り、岩穴に入ったり宿泊をしたりして、一挙手一投足にレンズを向け3267枚を撮った。

 お気に入りは、炎天下で宮中さんがハンマーを振り上げた作品。西田さんは「宮中さんは、人間は夢を失ったらおしまいとよく言っていた。彼の執念を反映した一枚」と語る。

 汚れていないスコップを肩に担ぐ後ろ姿は、バスを降りた宮中さんが剣山を目指す光景だ。「背負ったナップサックは夢で膨らんでいるようだが、孤高さと哀愁が漂っている」

 その他、岩をにらみつける宮中さんの厳しい表情や、暗闇の岩穴でろうそくを見るまなざし、穴から土を力いっぱいかき出す重労働を捉えた作品が並ぶ。

 西田さんによると、宮中さんは当時、剣山の名物男。彼に会う目的で登る人も多く採掘を手伝う人がいたという。

 西田さんは「宮中さんの行動に賛否の声はあるが、明治生まれの気骨を感じさせる人物で時代を映す写真対象として抜群だった。一徹さ、一つのものに懸けた人間の魅力がどれだけ共感を呼ぶか楽しみだ」と話している。

    ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  

 入館無料。問い合わせは同美術館<電080(5988)7720>。