グローバル化や少子高齢化の進展に加え、AI(人工知能)による技術革新が進み、予測困難な時代だ。これから社会に出る子どもたちには、複雑な時代を読み解く能力が求められよう。

 そこで提案したいのが、新聞の活用である。

 新聞を教材とし、子どもたちの学びを深める取り組みは1930年代に米国で始まった。思考力や判断力、表現力などを養う手段として、現在、80カ国以上で実践されている。

 NIE(エヌ・アイ・イー)、「教育に新聞を」と訳される。日本では11月をNIE月間とし、日本新聞協会や徳島新聞を含む加盟新聞社などが普及に力を入れている。

 新聞には、教室で学んだ知識と実社会を、しっかりとつなぐ力がある。多くの国でNIEが「民主主義を支え、よりよい市民をつくるもの」と解釈されているのは、新聞が主権者教育の教材としてうってつけだからだ。

 私たちの足元を見つめ直すとどうだろう。18歳選挙権が導入された2016年以降、国政選挙が3回、徳島県知事選挙が1回行われている。しかし、10代の投票率はいずれも極めて低かった。

 主権者意識の向上を図るには政治、社会への関心を高めることが欠かせない。継続して新聞を読むことが、その一助となるはずだ。

 日本新聞協会は本年度、全国の小中高校など545校を、徳島など15道府県のNIE推進協議会は68校をそれぞれNIEの実践校として認定した。

 実践校では新聞記事の切り抜きや記事内容の意見交換・討論、新聞づくり、コラムの書き写しなど、多彩な取り組みが行われている。

 17、18年度、都内6小中学校の約2200人を対象に調査した東京都NIE推進協議会によると、新聞を使った授業では、児童生徒の学習意欲や興味・関心が高まる傾向が見られたという。

 文字、活字離れも食い止めたい。県内でも中学生になると、読書量が減る傾向がある。それだけに、多くの教員にNIEの実践を取り入れてほしいと願う。

 全国学力テストの結果からは、新聞を読む頻度が高くなるほど、全教科で児童生徒の正答率が上がることも分かっている。

 もちろん、試験の得点アップが最終目標ではない。子どもたちに養ってもらいたいのは、新たな価値を創造したり、自身で課題を解決したりする力である。新聞をうまく使えば、そうした力を大きく育てることも可能だ。

 一つの記事がきっかけとなって、子どもたちの関心が地域社会や世界へと向かうこともあろう。古里徳島を見つめ、その良さを知ることにつながれば幸いだ。

 新聞の活用が広がり、記事を巡って子どもたちが意見を交わす。そんな光景が増えることを期待したい。