北朝鮮の弾道ミサイル発射への不安が徳島県内で広がっている。ミサイルが飛来する恐れがある場合、政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて自治体に緊急情報を発信し、市民の携帯電話には「ミサイル発射情報」が一斉に届く。県は危機感を強め、24市町村や県警、消防、自衛隊との連絡体制を確認するなど有事に備えている。
Jアラートによるミサイル発射情報の流れは《図》の通り。ミサイルが着弾する可能性のある都道府県と市町村は、屋外の防災行政無線で大音量のサイレンを鳴らすなどして注意を呼び掛ける。住民の携帯電話には緊急速報メールで発射情報が配信される。
政府が領土・領海にミサイルが落ちると判断すれば、屋内避難を求める「続報」が即座に配信され、公民館や学校といった頑丈な建物への避難が促される。
ミサイル発射情報は2016年2月に沖縄県に配信された。同県内の自治体には発射の約3分後に情報が届き、その約7分後に上空をミサイルが通過した。着弾する危険性があった場合、住民には約7分間で避難することが求められた。
徳島県は10日、総務省消防庁の要請を受けJアラートのシステムをチェック。その後、県内にミサイルが落下したケースなどさまざまな想定に基づき、庁内体制の在り方などについて協議している。
徳島市でも、着弾した場合に市民に屋内避難をどう呼び掛けるかについて検討を進めている。
県危機管理政策課は「メールやサイレンで発射情報を把握した場合には決して慌てず、落ち着いて行動してほしい」と呼び掛ける。ミサイルの弾頭に生物化学兵器が搭載されている可能性もあり「家屋のドアや窓を全て閉め、換気扇も止める必要がある。落下地点の周辺で不審物を発見したら近づかないでほしい」としている。
ミサイルへの危機意識が高まっているという徳島市の男性会社員(52)は「発射や落下地点に関する情報はできるだけ早く市民に届けてほしい。有事の際の対応方法についても、定期的に情報提供するべきだ」と話した。