徳島県のとくしま記念オーケストラ事業に関連し、アスティとくしま(徳島市)に音響反射板を設置する事業について、随意契約の上限額を超えているにもかかわらず、競争入札をしていなかったり、事業の必要性を確認できる資料がなかったりと、県の手続きに問題があることが29日、県の包括外部監査で分かった。

外部監査では、2016年度に実施された音響反射板の設計と反射板製作の随意契約2件を調べた。

設計については▽予定価格が150万円で随意契約の上限額(100万円)を超えている▽3者から見積もりが取れており随意契約としている理由がない―とし、「随意契約はできない」と断じた。

製作業務に関しても予定価格1620万円の算出根拠が不明な点を問題視したほか、設計の受注者と随意契約したことについて「設計図通りに製作するだけであり、仕様検討業務の受注者だけが製作、設置できるというのは直ちに首肯できない」とし、「競争入札を実施すべき事業だった可能性が高い」と指摘した。

事業そのものについても「必要性を確認できる資料がなく、実施理由を説明できる資料が不足している」との見解を示し、音響が良くなったことを確認できる資料などを収集、保管しておくよう求める意見を付けた。また、製作の予定価格を砂消しゴムで訂正しているとし、「砂消しゴムによる訂正は許されない」と批判した。

事業を担当したにぎわいづくり課は「法令や県の規則などについて職員が認識を深めるよう指導し、事業に対して第三者の理解が得られるよう努めたい」とコメントした。

記念オケ事業に関しては、県文化振興財団への随意契約による事業の委託、記念オケ事業に携わった東京の音楽プロダクション元代表取締役が来県した際のハイヤー代を同財団が負担したことなどに対し、市民団体からも監査請求や提訴が行われている。