神山町の地域戦略を担う一般社団法人「神山つなぐ公社」が進める神山中学校旧寄宿舎(同町神領)の解体工事を、公社理事が代表取締役を務める町内の建設会社が受注していたことが分かった。工事の発注者は町のため、公社や町は「理事は町と関係なく問題はない」とするものの、公社が工事を主導している上、理事の報酬は町が負担している。専門家は「町と公社は一体といえ、公平性を欠く恐れがある不適当な発注だ」と指摘している。

 理事は、建設業の大南組(同町神領)の代表取締役を務める大南信也氏(64)。NPO法人グリーンバレー(同町)の理事長として神山のまちづくりを長年リードしてきた。

 工事では、20戸の集合住宅の建設用地を確保するため、旧寄宿舎の鉄筋コンクリート建て4棟(延べ床面積約3500平方メートル)を解体した。

 リサイクルの一環として、がれきを現地で粉砕し、土地のかさ上げに活用する工法を公社が主体となって提案。業者向けの説明会も公社が主催した。公社が呼び掛けた「町のあす環境デザイン共同企業体」(山田貴宏代表)が設計した。

 町は昨年12月、2工区に分けて指名競争入札を実施した。慣例通り地元の6社を指名し、いずれも大南組が落札した。契約額は2工区で計5千万円。落札率は公表されていないが、設計金額と契約額で計算すると、96・9%になる。既に工事は終えている。

 公社は、町が全体の95%の1千万円を出資して2016年4月に設立された。町から代表理事など2人が出向しており、事務所は役場内に置かれている。理事4人の報酬を含めた人件費(本年度は3400万円)は町が負担している。

 行政法が専門の三野靖香川大教授は「業者の指名は自治体の裁量の範囲内だが、実質的に事業に影響力を行使できる立場にある理事の会社を指名するのは、公平性や外部目線から見て問題だ。大南氏が指名辞退するか、町が指名から外すべきだった」と指摘した。

 町は「指名はルールにのっとって公正に行った」と正当性を強調。大南氏は「解体設計までの流れには関知しておらず、町指名審査委員会の決定に従って応札した」と話している。

 ◆大南理事一問一答

 神山中学校旧寄宿舎の解体工事について、請け負った一般社団法人「神山つなぐ公社」大南信也理事は徳島新聞の取材に応じ、問題性を否定した。

 ―利益誘導につながるとの声がある。

 (公社理事として)設計や入札には関与しておらず、心外。倫理観として(会社が関連してくるような)公社の話には立ち入らないようにしている。解体工事については、町民向け説明会に1度出席しただけと記憶する。

 ―理事としてどのような仕事をしているのか。

 公社の事業は多岐にわたる。全てに関与はしていない。私はソフト事業というか、高校活性化や農業プロジェクトを担当している。

 ―今回の入札は辞退すべきではなかったか。

 町の指名審査委員会で(利益相反などの)問題がないから指名された。役場がそう見たのだから、私が辞退するという話ではない。

 ―大南組に解体能力がないとの声がある。

 町の解体工事を少なくとも3回請け負ってきた。解体能力については町が実績を見て判断することで、私がする話ではない。