ゲンボクが建設したバイオマス発電所=小松島市金磯町

 木材卸のゲンボク(徳島市)が、小松島市金磯町で運営している木材市場「ゲンボク市場」の敷地に出力250キロワットのバイオマス発電所を建設した。売電収入を新たな収益源にするとともに、未利用材をチップにして燃料に使うことで木材の消費拡大を図る。4月に稼働させる。

 ゲンボク市場の敷地約3万3千平方メートルのうちの約3千平方メートルに、木造平屋延べ498平方メートルの乾燥棟と、木造一部2階建て延べ498平方メートルの発電棟を建設した。

 年間発電量は約200万キロワットで、全量を四国電力に売電する。建設費は非公表。徳島銀行と日本政策金融公庫徳島支店から融資を受けた。

 発電方法はガスエンジン方式を採用した。乾燥棟で木材を砕いてチップ化し、乾燥させた上で、発電棟で燃やす。その際発生する水素と一酸化炭素の混合ガスで発電機を駆動させる。

 チップを燃やして水を熱し、発生した蒸気でタービンを回して発電させる一般的な蒸気タービン方式に比べ、設備が小規模でも発電効率が高いという。また、発電過程で出る熱で空気を温めてチップの乾燥に使い、コスト削減につなげる。

 チップの素材となる木材は、那賀町の山林で切り出された丸太のうち、通常なら使われない端材や、山林に放置された材木などを買い取って使う。

 木材需要の低迷や市場を通さない取引の増加で、ゲンボク市場の取扱量は1980年度の約7万4千立方メートルから、2016年度は約1万立方メートルに落ち込んでいる。それに伴い手数料収入も減少しており、同社はバイオマス発電所の売電収入を、市場の安定運営に生かしたい考えだ。

 ゲンボクの岡田育大社長は「市場を必要としている製材所のためにもバイオマス発電所を市場の維持に役立てたい」と話した。