首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑が次々と浮上している。ところが、政府や与党には実態解明への姿勢が感じられない。国会の会期末まで10日足らずとなり、このまま幕引きを図ろうとの思惑が透ける。言語道断である。

 中でも看過できないのは、反社会的勢力とみられる人物が今年の桜を見る会に参加していたことだ。菅義偉官房長官と一緒に撮った写真を週刊誌などが報じた。

 反社会的勢力を巡っては、吉本興業の所属芸人が会合に出席し、報酬を得たことが社会問題となったばかりだ。

 そうした人物が、税金を使った公の行事に正式に参加し、もてなしを受けていたとすれば由々しき事態である。

 また、2015年の桜を見る会の際には、特定商取引法違反容疑で家宅捜索を受けたジャパンライフの当時の会長にも招待状が送られていた。

 招待状に記された「60」との区分番号が、安倍晋三首相の推薦枠ではないかとの指摘もある。誰がどのような経緯で招待したのか。納得のいく説明が求められる。

 「桜を見る会」の招待者名簿が既に廃棄され、首相らが推薦した招待者を検証できなくなっていることも問題だ。

 各省庁は推薦名簿の保存期間をおおむね3~10年としている。これに対し、首相や官房長官らによる推薦名簿を保存する内閣官房は1年未満で、今年分は野党が資料要求した同じ5月9日に早々と廃棄。電子データも削除し、復元はできないとしている。これでは証拠隠滅の疑いをかけられても仕方があるまい。

 安倍政権では森友・加計学園問題、陸上自衛隊の日報問題で決裁文書の改ざんや隠蔽などが行われ、不適切な文書管理の在り方が問題視されてきた。今回の対応に、「またか」との思いを抱くとともに、憤りさえ感じる。

 与党は、野党が求める首相出席の予算委員会での集中審議を拒否している。「既に記者会見などで説明している」との主張だが、首相への疑念は少しも晴れていない。

 桜を見る会には、首相の地元後援会員が多数招かれ、首相の事務所がツアーの募集を仲介していた。首相の後援会が前日にホテルで開いた夕食会の経費や、首相夫人が関与したとされる招待者推薦の実態など、不可解な点は多い。

 加えて、最新の週刊誌報道によると、15年のツアーで首相の事務所スタッフが、地元支援者らに同行して上京する旅費を、政治資金で支払った疑いがあるという。

 旅費や宿泊費などについて首相はこれまで、「事務所や後援会に収支は一切発生していない」などと説明していた。事実なら矛盾することになり、政治資金規正法に違反する恐れもある。

 首相は招待客の人選についても当初、関与を否定していたが、その後修正した。

 首相自身がしっかりと事実関係を説明しない限り、国民の不信感は募る一方だ。