経営再建中の中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)は30日、発光ダイオード(LED)製造大手の日亜化学工業(阿南市)と海外の投資ファンドを引受先とする計約350億円の第三者割当増資を実施すると発表した。昨年12月に稼働停止した能美工場(石川県能美市)は筆頭株主の産業革新機構に約200億円で売却し、計約550億円を調達する。JDIにLEDを納入している日亜化学は約50億円を出資する。
JDIは当面の運転資金と設備投資に充てる。スマートフォン向けパネルで想定より液晶の需要が増しており、製造や販売をてこ入れして業績回復を急ぐ。
日亜化学は出資の狙いについて「共にメード・イン・ジャパンの製品を作り、世界に発信している企業として、JDIの製品開発や成長を支援したい」としている。
JDIは中国パネル大手の京東方科技集団(BOE)などと資本提携に向けた協議を続けていたが、3月末までにまとまらなかったことから増資の引受先を切り替え、調達額も当初想定より引き下げた。海外企業との提携に向けた協議は継続する。
革新機構は能美工場を、JDIの関連会社で有機ELパネルを手掛けるJOLED(ジェイオーレッド、東京)に現物出資する。JOLEDはデンソーなどを引受先とする1千億円の増資を計画。能美工場に投資して、中型有機ELパネルの生産規模を現在の約10倍に拡大する方針だ。
JDIはJOLEDを連結子会社にする方針を撤回することも発表した。